2021 Fiscal Year Annual Research Report
Super-resolution imaging with distance measurement at 1 nm accuracy in live cells
Project/Area Number |
19H03202
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
松田 厚志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 主任研究員 (20585723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜崎 淳一 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所小金井フロンティア研究センター, 主任研究員 (80399980) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超解像顕微鏡 / 二光子顕微鏡 / 補償光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において発見した計算機上で光学収差を補正できる新しい「計算補償光学」を拡充させ、距離計測や超解像顕微鏡に適用することによりこれらの顕微鏡技術の精度を向上させることを新しい目的として研究を進めた。本年度は、計算補償光学を超解像顕微鏡3D-SIMや二光子顕微鏡を用いた生体深部イメージングへ適用するための研究を行なった。 計算補償光学を3D-SIMに適用するためには、既存の3D-SIMの再構築プログラムを新たに書き直す必要が生じた。既存の3D-SIMにおけるデコンボリューションでは、光学伝達関数(OTF)が平面方向には回転対称と仮定してデータ量を圧縮しているが、光学収差の入った光学伝達関数では平面方向で非対称となるため、データ非圧縮のプログラムを作成する必要がある。そこで、新しい3D-SIMの再構築プログラムを作成し、計算補償光学を使用したところ、アーティファクトが減少し、光学収差により低下していた分解能を回復させることに成功した。 さらに、二光子顕微鏡への適用方法についても検討した。二光子顕微鏡では、非線形光学の一つである二光子吸収過程を伴うため、従来の線形光学の計算補償光学では正しく収差を計測できず、効果が得られないことが明らかになった。しかし、二光子顕微鏡の点像分布関数が一光子顕微鏡の点像分布関数の二乗に相当することをヒントにして、二光子顕微鏡画像の平方根を得たところ、一光子顕微鏡画像と同等の画像が得られることを見出した。これを用いて、一光子顕微鏡画像において計算補償光学を行い、その後、画像を二乗して二光子顕微鏡画像に戻せば、効果的に計算補償光学を行うことができることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の光学的な超解像顕微鏡法や距離計測の計画が様々な事情により計画通りに進まず、研究は異なる方向に進展したが、結果的には、計算により光学収差を補正できる新しい方法を見出すことができた。当初の距離計測の計画に関しては、研究の進展に伴い、光学収差の補正が不可避となっていたため、その補正を別の形で実現できたことは、当初の計画の遂行にも極めて重要であった。また、本研究で開発した計算補償光学は生物学、脳科学、医学など幅広い研究分野において重要な技術になりうることから、本研究成果を当初の計画に留めることなく、超解像顕微鏡3D-SIMやニ光子顕微鏡などへ発展させていくことは極めて重要と考えられる。本年度はこれらの技術の応用に挑戦し、通常の発想では到底不可能と思える二光子顕微鏡への応用に関しても、全く新しい方法の開発により技術的問題点を解決し、応用を成功させた。これらを総合すると、これまでの遅れを完全に取り戻し、今後も研究の発展を加速できる準備が整い、当初の想定を超える成果を期待できることから、「当初の想定以上に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した計算補償光学は、まだ原理実証段階であり、研究成果発表のためには今後多くの実問題に適用し、問題点を解決しながら、成功例を積み重ねる必要がある。そのためには、必ずしも研究要素とは言い難いユーザビリティの向上も必要不可欠となる。また、これまで画像全体の光学収差を直接計測していたが、領域ごとに分割して計測することによりさらに光学収差を正確に計測できる可能性があるため、画像を分割して処理する方法についても検討していく。これらの研究開発を通してより科学的に意義の高い研究へと繋げていく。
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