2020 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞トランスクリプトームによる異なる神経サブタイプを生み出す分子機構の解明
Project/Area Number |
19H03204
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 健生 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10455925)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ホヤ / 単一細胞トランスクリプトーム / 神経細胞 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シンプルなホヤ幼生の中枢神経系をモデルとして、単一細胞トランスクリプトーム解析などのゲノム生物学的な手法と発生生物学的な手法を組み合わせことにより、中枢神経系に存在する全てのニューロンについて、異なる神経サブタイプを生み出す分子機構を解明することを目的としている。 ホヤの中期尾芽胚期、後期尾芽胚期の単一細胞トランスクリプトームの結果から、ホヤ幼生の中枢神経系には24種類の細胞群が存在することが明らかとなった。これら24 種類の細胞には、新規の細胞群とともに、光受容細胞、コリン作動性ニューロン、GABA作動性ニューロン、ドーパミンニューロン、表皮感覚ニューロンなど既知のニューロン群が含まれていた。同定した各ニューロンにおいて特異的に発現する転写因子を検索し、その機能解析を行った。特に今年度はGABA作動性ニューロン、表皮感覚ニューロンに着目して研究を行った。 ホヤの脳内には1対2個のEminescence(Emi)細胞と名前が付けられたニューロンが存在している。単一細胞トランスクリプトーム解析の結果、Emi細胞はGABA作動性ニューロンであること、マーカー遺伝子として転写因子Prop1が発現することが明らかとなった。Prop1の機能を阻害したところEmi細胞の分化は完全に失われた。表皮感覚ニューロンのうち、Bipolar Tail Neurons (BTNs)と名前が付けられたニューロンについて解析を行った。その結果、BTNsの分化にPOUIV,neurogeninが必須の役割をしていることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホヤ幼生に存在する神経細胞のうちGABA作動性神経、表皮感覚神経細胞、ドーパミン神経細胞、光受容細胞など多くの神経細胞の分化機構を解明することに成功しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
表皮感覚ニューロンのうち、Bipolar Tail Neurons (BTNs)と名前が付けられたニューロンについて解析が進みつつある。BTNsの分化機構の解明を進めて行きたい。
|