2021 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on regulatory mechanisms for mammalian embryos by mechanical forces
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19H03238
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 部長 (10264285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メカニカルフォース / マウス / 神経管閉鎖 / ノンカノニカルWnt / GRHL3 / USP39 / 平面細胞内極性 / 表皮細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、神経管閉鎖過程で神経と表皮の境界に、未分化な前駆細胞が存在すること、閉鎖時に、カノニカルWntと下流エフェクターであるGrainyhead-like3 (Grhl3)によって表皮外胚葉へ分化すること、分化後に、GRHL3は核から細胞質に移動し、ノンカノニカルWnt経路を活性化することで、F-actin豊富な大型多核の表皮細胞を形成することを見いだしている。この過程により強靭な表皮が形成されることで、神経管閉鎖運動が可能となる。そこで、、GRHL3の細胞内局在に関わる分子が強靭な上皮細胞の形成に重要であることから、本年度はGRHL3と相互作用する候補分子Ubiquitin Specific Peptidase 39 (USP39)の発現と機能について解析を進めた。 まず、USP39特異的抗体で培養細胞とマウス胚での発現を解析したところ、USP39は、GRHL3と細胞質で共局在し、USP39をノックダウンするとGRHL3の細胞質での局在が核内へと変化した。次に、ES細胞から表皮細胞へのin vitro分化系で、USP39は、過剰発現させるとノンカノニカルWnt経路を活性化し、F-actin豊富な大型・多核の表皮細胞の形成を促進すること、逆にノックダウンすると大型・多核の表皮細胞の形成を阻害した。更に、Usp39遺伝子欠損マウスを作製し、ホモ変異胚の表現型を解析した結果、Usp39欠損胚では、ノンカノニカルWnt経路で働くPRICKLE1分子の発現が低下し、エピブラスト細胞の極性について、Prickle1欠損胚同様の平面細胞極性異常が観察された。これらの結果は、GRHL3と相互作用するUSP39分子がノンカノニカルWnt経路に関与していることを強く支持している。現在、USP39がどのような活性を介してノンカノニカルWnt経路の分子を制御しているか解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
GRHL3の細胞内局在の分布を制御する分子としてUSP39の同定を通じて、その分子機構を明らかにすることができた点。特に、USP39は、GRHL3の細胞質への移行に関わり、ノンカノニカルWnt経路の活性化に関与すること、PRICKLE1の発現制御にも関与していることなどを発見することができた。以上の成果の一部は、国際誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、USP39分子のどのような活性を介してノンカノニカル経路を活性化しているか詳細な解析を進めている。つまり、USP39には2種類の機能、splicing制御と脱ユビキチンを介したタンパク質分解の制御が想定されている。このどちらに機能している可能性が高いか遺伝学的な手法やRNA-seq解析などから検討する予定である。更に、USP39以外のGRHL3相互作用分子候補についてもその発現と機能について、培養細胞とマウス胚において解析を進める予定である。これらの解析を通じて、機械的な力を介した哺乳動物胚の形態形成機構を明らかにしたい。
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