2020 Fiscal Year Annual Research Report
Correlation between photosynthesis and phototaxis in Chlamydomonas
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19H03242
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若林 憲一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80420248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得津 隆太郎 基礎生物学研究所, 環境光生物学研究部門, 助教 (60613940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クラミドモナス / 光走性 / 光合成 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、モデル緑藻クラミドモナスが示す光走性と光合成活性の活性酸素種(ROS)をシグナルとした連関の分子機構を明らかにすることにある。 2020年度、そしてその2021年度への繰越の段階では、主として「常に正」または「常に負」の光走性を示す変異株の原因遺伝子の絞り込みと、表現型解析を行った。常に正の変異株7種について、光合成・増殖能・強光耐性について詳細な表現型解析を行ったところ、7種に共通してみられる傾向はなかった。これは光走性の符号の偏りが多様な生体内代謝状態の影響を受けていることを示唆している。遺伝子解析については、これらは抗生物質耐性遺伝子カセットを用いた挿入変異で作成したにも関わらず、7種すべてが表現型と遺伝子挿入が対応していないことが判明した。その後はAFLP解析を通じて遺伝子座の絞り込みを行っているが、ひとまず表現型のみでの論文発表準備に入った。 「常に負」の光走性のミュータントについては、新たに2種単離し、うち1つは遺伝子挿入と表現型が対応していた。しかし、遺伝子カセット周辺のシーケンスでは断片化した遺伝子カセット周辺しか読むことができず、遺伝子同定には至らなかった。その後はAFLP解析も合わせた解析を続けている。 また、並行して、細胞質ゾルのROS消去に関わる酵素であるチオレドキシン還元酵素を、CRISPR/Cas9システムをつかってノックアウトした。すると、野生株よりも低い濃度のROSで正の光走性が誘導された。これは、これまでに葉緑体のROS消去関連のミュータントで観察した際には見られなかった表現型である。光走性の符号調節には細胞質ゾルのROS蓄積量が関与していることを強く示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度中に、予定していた「常に正の光走性を示す変異株」群の詳細な表現型解析が終了し、論文投稿準備に入ることができた。また、「常に負の光走性を示す変異株」群の原因遺伝子候補の絞り込みも行うことができた。2021年度にかけた活性酸素種と光走性の符号の対応の実験系の構築もはじめており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
光走性の符号変動と細胞内ROSの関連について、より詳細かつ定量的な解析を行う。また、光走性符号に偏りのある変異株群の原因遺伝子の同定をAFLP解析によって行いたい。
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Research Products
(19 results)