2019 Fiscal Year Annual Research Report
植物の上下軸の決定と上下軸に沿ったパターン形成を担う分子機構
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19H03243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植田 美那子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20598726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金岡 雅浩 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10467277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物受精卵 / パターン形成 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
受精から始まる胚の体軸形成は、個体発生の原点である。しかし植物では、受精卵や初期胚が体軸形成を行う過程において、細胞内でどのような変化が起こるのか、また、それらがどのような遺伝子によって制御されるのか、いまだほとんど分かっていない。その理由としては、被子植物の花の奥深くに存在する受精卵や胚を生きたまま観察する手法がなかったことと、従来の遺伝学的スクリーニングは、致死性や冗長性のために鍵遺伝子を見出すには不充分だった点が挙げられる。そんななか、研究代表者らはシロイヌナズナを用いて、細胞内動態の詳細なライブイメージングを進めてきた(Kimata and Ueda, 2020)。このライブイメージング手法と、多様な変異体や阻害剤を組み合わせた解析の結果、ミトコンドリアが受精後にダイナミックな結合や断片化を経て、繊維状・球状へと形態を変えることを見出した。さらに、ミトコンドリアはアクチン繊維に沿って繊維化することで受精卵内を上部に極性移動することや、その結果、受精卵の分裂後に上部の頂端細胞に多く不等分配されることも発見した(Kimata et. al., 2020)。同様に、精緻な観察と変異体解析を組み合わせることで、胚のパターン形成におけるエピジェネティック制御の必要性についても、さまざまな知見を得た(Antunez-Sanchez et. al., 2020)。さらに、これらのライブイメージング手法や見出した現象について、多くの国内外の学会で発表するにも至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らが独自に立ち上げた植物受精卵の精緻なライブイメージング系を駆使してさまざまな現象を見出し、成果発表に至った。加えて、変異体の解析なども通じ、体軸形成を担う新たな機構が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
体軸形成を担う制御因子も同定するべく、受精卵を単離してトランスクリプトーム解析を進める。具体的には、野生型と、受精卵の極性化に失敗する変異体でRNA-seqを行い、得られた結果を比較することで、受精から始まる体軸形成時に働く遺伝子の候補を網羅的に探索する。
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[Presentation] Live-cell imaging of the intracellular dynamics of Arabidopsis zygote.2019
Author(s)
Kimata Y., Higaki T., Kurihara D., Kato T., Segami S., Morita MT., Maeshima M., Hasezawa S., Higashiyama T., Tasaka M., Ueda M
Organizer
Plant Morphodynamics
Int'l Joint Research / Invited
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