2019 Fiscal Year Annual Research Report
Phloem patterning by CLE peptides
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19H03246
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70214260)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 篩部 / 植物 / 転写因子 / 細胞間情報伝達因子 / 受容体 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
維管束は、篩部、木部、前形成層からなる。根においては、根端分裂組織における一次成長によって維管束系の基本パターンが形成される。植物は、種に特有の維管束パターンを持っている。シロイヌナズナでは、diarch型である。横断面を見た場合には、二つの極に篩部が形成され、その間に一直線に道管列が並ぶ。また、篩部や木部を構成する細胞列の数も決まっている。この特定のパターンが生み出される仕組みを明らかにすることが本研究の目的である。具体的には、パターンの形成には、細胞間情報分子と、細胞間情報分子の情報を認識した細胞が転写制御系を調節することによって細胞状態を制御すること、この制御によって細胞間情報分子が作られることのフィードバック系が重要であると考え、その仕組みを明らかにしたい。私たちは、篩部の形成を支配するDof転写因子群に注目している。本研究で、多重変異体の解析によって、篩部で発現するDof転写因子が篩部の形成に必須であることを見出した。さらに、Dof転写因子が細胞間情報分子である複数のCLEペプチド遺伝子の発現を制御すること、これらのCLEペプチドを植物に与えると篩部の形成が阻害されること、さらにはこれらのCLEペプチドの遺伝子の多重変異体で篩部の過形成が起きることを見出した。次に、これらのCLEペプチドの作用には、受容体候補であるBAM受容体キナーゼ群が必須であることを見出した。篩部を制御するCLEペプチドとBAM受容体群が直接相互作用するという生化学的証拠も得た。さらには、BAM受容体キナーゼ群と共に働く共受容体も見出し、これらが全て篩部形成の経路で働いている証拠を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
篩部形成における転写因子、細胞間情報伝達分子、受容体の多重変異体の表現型を明確に示すことができ、これらの役割が明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
篩部で発現するCLE25, 26, 45が篩部形成における側方阻害因子であるという証拠が固まったが、篩部で発現するCLEと、篩部以外で発現するCLEペプチドが協調して働いている可能性を考え、様々な組み合わせのcle多重突然変異体を作成して観察する。また、篩部制御においてBAMクラスの受容体キナーゼと共受容体がCLEの受容体として働いている証拠を固めつつあるが、遺伝的相互作用も含めて研究を進める。CLEが篩部形成を抑制する仕組みの研究も進めており、その分子機構を明らかにするための研究を進める。
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