2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規視床下部小タンパク質による末梢組織での脂肪蓄積作用メカニズムの解明
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19H03258
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科, 研究員 (50311296)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪蓄積 / 視床下部 / 小タンパク質 / 白色脂肪組織 / 肝臓 / 脂肪合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々が発見した新規脳因子である視床下部小タンパク質(NPGLと命名)の脂肪蓄積作用の分子メカニズムを明らかにし、末梢組織での脂肪蓄積・合成を担う新しい中枢性制御機構を解明する研究を展開することを目的としている。本NPGLは、80アミノ酸残基からなる分泌性小タンパク質であり、ラットとマウスを用いた解析により、NPGLが摂食促進や脂肪蓄積を促すことを見出している。 現在、遺伝子改変マウスを作製し、NPGL発現細胞を時期特異的に活性化・不活性化し、表現型を解析する準備を進めている。また、これまでの解析から、NPGLを2週間、脳室内に慢性投与し、普通食及び高カロリー食摂餌下での影響を解析したところ、普通食給仕下では摂食量及び体重増加が生じないが、高カロリー食給餌条件下では摂食量・体重増加が顕著に生じることを見出している。本年度の解析では、NPGL前駆体遺伝子を過剰発現し、約2ヶ月間で生じる表現型解析を主に行った。その結果、普通食給餌条件下でも摂食量と脂肪蓄積の亢進が生じ、高カロリー食給餌下では顕著な脂肪蓄積が生じ、最終的に肥満を呈することが明らかとなった。さらに、肝臓での脂肪蓄積が生じていることが分かった。一方で、普通食給餌下での白色脂肪組織での脂質代謝関連遺伝子の発現が亢進しており、積極的にde novo脂肪合成が生じていることが分かった。さらに、エネルギー消費量の低下が生じており、このことが脂肪蓄積・体重増加に寄与していることが明らかとなった。 今後は、中枢から末梢へのNPGLの作用機序を明らかにする必要がある。そのためにはNPGLに対する受容体を明らかにする必要があり、現在、効率的な手法を開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPGLが末梢組織での脂肪合成を介した脂肪蓄積作用を示すことを様々な手法により示すことができており、順調に進んでいると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、NPGL遺伝子の下流にCreリコンビナーゼ遺伝子を連結した遺伝子改変動物を作製中であり、繁殖を進めている。このCreマウスが利用できる状態になったのちに、ムスカリン性アセチルコリン受容体を発現させることで人工リガンドのCNOを投与し、NPGL発現細胞のON/OFFを可能にし、生じる表現型を解析する予定でいる。これにより、より生理的な条件でのNPGL発現細胞の機能が見えると期待している。
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