2020 Fiscal Year Annual Research Report
分散と種の二次的接触,繁殖形質置換のサイクルが引き起こす連続的な種分化の検証
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19H03286
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
戸田 守 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (40378534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和智 仲是 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (40635299)
富永 篤 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60452968)
城野 哲平 広島修道大学, 人間環境学部, 助教 (70711951)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 種分化 / 2次的接触 / 形質置換 / 爬虫類 / 両生類 |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾における調査は実施できなかった.国内のミナミヤモリについて,遺伝的に異なる系統の分布を見直した.その結果,屋久島のミナミヤモリに九州系統,北琉球系統,中琉球系統の3つのミトコンドリア系統が存在することが明らかになった.同島のミナミヤモリは,その分布状況から人為的に持ち込まれたと考えられているが,すでに3系統が持ち込まれているとなれば,その接触域において3者の関係を見ることで系統間の生殖隔離の度合いや繁殖干渉について評価することができる.さらに九州南部にも2つのミトコンドリア系統が存在することが明らかになった. ヌマガエルの日本本土,琉球列島,台湾,大陸系統のサンプルに対し,Mig-Seq法によるゲノムワイドな解析を行い,ミトコンドリアDNAの解析結果とあわせて集団構造の解明を試みた.その結果,ミトコンドリアDNAと核DNAの双方で,この地域のヌマガエル類は,1)先島諸島のサキシマヌマガエル,2)台湾東部の集団,3)それ以外の集団の3つに大別され,mtDNAでは3)のなかでさらに日本本土の集団とそれ以外の集団が明確に別れた.このうち2)と3)は台湾内で側所的に分布しており,それらが接する台湾北東部と南東部それぞれで狭い交雑帯が認められたものの,遺伝的には明確に分化していることが明らかになった.この結果は,台湾東部集団を独立種とみなすことの妥当性を支持している.一方, mtDNAと核DNAの間でパターンに不一致があるものの,従来,狭義のヌマガエルとされていた3)の中にも明確な地理的構造が認められたため,その分類を巡ってさらなる検討が必要である.これらヌマガエル類の繁殖コールについて予備的な分析を加えたこところ,サキシマヌマガエルは他と明確に異なっている一方,その他の集団の鳴き声はよく似ていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により,予定していた台湾での調査が実施できなかった.そのため,分布接触域の特定,特定した接触域付近での繁殖コールの録音もできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの情勢は見通せないが,台湾への渡航が可能になり次第野外調査を実施し,分析を進める.
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