2022 Fiscal Year Annual Research Report
種間交雑回避機構として体色と色覚がトンボ類の種分化に及ぼす効果
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19H03287
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 文男 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40212154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二橋 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50549889)
土畑 重人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50714995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 交尾行動 / 形質置換 / 種分化 / 種内変異 / 種間交雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
カワトンボ属(Mnais)2種(アサヒナカワトンボとニホンカワトンボ)に関して,南九州(宮崎県)西九州(天草),東北地方(郡山)の個体群を調査した.これら3地域から多くの個体を得て,形態測定およびDNA解析を行った.そうして,日本各地からこれまでに得られた2種の各集団の結果と比較した.核DNAのITS領域で種の同定を行い,ミトコンドリアDNAのCOI領域で2種間の交雑の程度(ハプロタイプの共有率)の指標とした.アサヒナカワトンボは小型,ニホンカワトンボは大型であるため,2種間が交雑しており,形態が中間的だとその同所的2種は雑種崩壊を起こしていると考えられた.交雑があるにもかかわらず,同所的2種間の形態差が大きく変化している場合には形質置換が生じていると考えられた.交雑の痕跡がなく同所的2種間の形態差が維持されている場合には2種が維持されていると考えられた.これまでに調査した全集団について,それぞれを地図上にプロットした結果,最も単純な仮説として,東日本の同所的2種間では雑種崩壊が,中部地方から近畿地方にかけては形質置換が,中国地方,四国地方,九州地方では同所的に生息していても2種が独立して存在している傾向が明らかになってきた.さらに,日本中のアサヒナカワトンボとニホンカワトンボについて,RAD-Seq法によってゲノムワイドに取得したSNP(一塩基多型)を用いた系統解析によって,これまでアサヒナカワトンボとニホンカワトンボの交雑由来集団とされてきた伊豆集団は,交雑に由来するわけではなく,未記載の独立種(カワトンボ属の第3番目の種)である可能性が示唆された.一方,北関東地方のカワトンボ属のDNA解析を行い,埼玉県における以上3種のグ詳細な分布様式を解明した.また,全国各地で得られたカワトンボ属の翅色異常個体のDNA解析から,それらの個体がどの種であるのかも明らかにした.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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