2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03295
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山尾 僚 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (50727691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
石川 勇人 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (80453827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 捕食者認識 / 種子発芽 / 植物ー動物相互作用 / 被食ー捕食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、全体計画中の種子が識別する化学物質の特定と普遍性の検証、および分子メカニズムの解明について取り組んだ。化学分析はダンゴムシの糞のメタノール抽出物についてシリカゲルを用いた順相カラムで分画作業を行い、種子のアッセイを繰り返し行った。その結果、活性分子の一つが多糖類の一種であることが特定され、さらにもう一つの活性分子が存在していることが明らかになり、絞り込みを進めることができた。普遍性の検証については、同じくオオバコと近縁のヘラオオバコを中心に複数種で検証を進めた。その結果、オオバコの種子と同様にヘラオオバコの種子においても同種が被食されて排出された糞に対して発芽率が低下することが明らかになった。さらに、同様の現象は、複数の異なる植物群で観察された。これらの種は系統的に独立であり、植食者の糞に対する種子の応答は様々な系統で独立に進化していることが示唆された。分子メカニズムの解明については、本現象に関与する遺伝子群を特定するためにRNA-seq解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した4つの実験についてほぼ当初の計画通りに進行しており、今後の計画進行においても特別な支障はなく、予定通りに進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、種子が認識する化学物質の特定、普遍性の検証、分子メカニズムの解明をこれまでと同様に進めると共に、種子の捕食者認識の進化プロセスの解明についても並行して進める。化学分析の特定については、本物質に対して種子のアッセイを実施する。種子のアッセイは、分画区分毎に10粒以上の種子でアッセイし、蒸留水で発芽させる対象区に比べて有意に発芽率が低下する区分を探索する。この化学分析による活性成分の単離・精製作業を繰り返し、最後にNMRによる精密解析により構造決定を行う。構造決定後、化学合成により量的供給を行う。普遍性の検証についてはさらに種を増やすと共に、オオバコと同様の傾向がみられた種については追試を行い、結果を確実なものにする。分子メカニズムの解明についてはRNA-seq解析を引き続き続ける。進化プロセスの解明については、ダンゴムシの糞への反応が異なる複数の個体群を対象に相互移植実験を実施する予定である。
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Research Products
(16 results)