2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03315
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 和宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60208858)
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (20590847)
冨塚 江利子 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (90313098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / ラオス / 低タンパク適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類集団のなかには、タンパク摂取量が極端に少ないにもかかわらず、タンパク欠乏にともなう臨床症状をしめさないものがあることが知られている。これは、「低タンパク適応」と呼ばれ、代表者のグループは特に腸内細菌叢の役割に着目しながら、そのメカニズム解明を目指してきた。本研究課題では、これまで研究をすすめてきたパプアニューギニア高地に加えて、タンパク摂取量が少ないことが確認されている2つの地域(ラオス北部ウドムサイ県ナモー郡・インドネシア西ジャワ州スメダン県)を対象に加えることにより、「低タンパク適応」メカニズムの固有性と普遍性を明らかにする。具体的には、それぞれの集団の個人を対象に、個人がふだんの生活を維持するために必要なタンパク必要量と、実際のタンパク摂取量、タンパク栄養の指標を評価し、それらが腸内細菌叢によってどのくらい修飾されているかについての検討をおこなうのが全体の計画である。 平成31年度は、ラオスにおいてサンプリング調査をおこなった。ナモー郡の二つの村落ににおいて、糞便、尿、毛髪などの生体試料を収集したほか、質問紙を用いた個人属性の聞き取り調査、栄養状態の評価のための生体計測をおこなった。収集したサンプルは日本に持ち帰った。尿サンプルを用いて、尿素窒素とクレアチニンの測定を実施した。また、糞便サンプルを用いて、16S rRNA系統解析による腸内細菌叢の評価をおこなった。 さらに、令和2年度に予定しているインドネシア・西ジャワ州におけるサンプリング調査のための予備調査を実施した。この予備調査では、村落の中心メンバーへの調査内容の説明のほか、現地カウンターパートとの研究内容の協議、サンプルをインドネシアから日本に輸出するための許可取得の準備などをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度には、ラオスのウドムサイ県ナモー郡において予定したサンプリング調査を実施し、サンプルを日本の実験室に持ち帰ることができた。持ち帰ったサンプルを対象にした腸内細菌叢の評価、バイオマーカの測定も予定通りすすんでいる。また令和2年度に予定しているインドネシアでのサンプリング調査に向けて、対象村落での説明会の開催、インドネシア政府への調査許可申請、カウンターパートとの協議が順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、インドネシア西ジャワ州スメダン県の村落においてサンプリング調査を実施する予定である。調査にかかわる準備はほぼ完了しているものの、新型ウィルスの感染拡大により、現在、インドネシア政府が外国の調査チームの受入を禁止しているため、予定どおりのサンプリング調査が実施可能かどうか不透明である。今後は、状況をみながら、最善の方策をみつけていきたい。
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Research Products
(6 results)