2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03327
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有賀 純 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (10232076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 拡散性伝達 / シナプス接着分子 / モノアミン / 発達障害 / 精神神経疾患 / 疾患モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
LRR膜タンパク質(遺伝子)の異常が統合失調症、双極性障害、ADHD、強迫性障害、不安障害、自閉スペクトラム症、学習障害などの神経疾患に密接に関係することが明らかになってきた。これらの疾患のうち、統合失調症、双極性障害、ADHD、強迫性障害、不安障害治療薬の多くはモノアミン作動性神経系(モノアミン系)を標的としていることから、LRR膜タンパク質の機能変化とモノアミン系との関係が注目された。
脳の拡散性伝達とLRR膜貫通タンパク質との関係を明らかにするために、「LRR膜タンパク質によるモノアミン系の制御の分子的な実体は何なのか、それがどのように各神経疾患の病態と関わるのか」という問題に取り組んだ。まず、LRR欠損マウスの成獣脳におけるモノアミン含量を新鮮凍結切片からのパンチバイオプシーを用いて解析した。対象とした領域は前頭前野、側坐核、海馬、扁桃体、縫線核などで、その欠損動物に現れた症状を基に決定した。更に自由行動下における実験動物の脳内モノアミンの動態を解析するために、近年確立された生物学的プローブを用いたモノアミン定量システムを導入して予備実験を行った。
一方、LRR膜タンパク質遺伝子に発達障害患者由来ミスセンス変異を持つノックインマウス系統に対して、系統的な行動解析を行った。その結果、新規環境における移動活性の変化、社会行動の変化などについて、あらたな行動異常が観察された。これらは発達障害患者に表れる症状と何らかの関連があるのではないかと予想された。これらの動物に対して、神経線維の形態解析を生理活性アミン輸送体に対する定量的免疫染色を中心に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた複数の研究項目について、実験を行い、意義のある結果を得ることができた。これらはLRR膜貫通タンパク質による脳の拡散性伝達の制御と発達障害の病態の解明に貢献するものと考えられた。予算の制約から、当初予定していた解析機器を導入することができなかったが、より優れた特性を持つ新たな解析系を導入することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに導入した脳内モノアミンの解析系を活用して、LRR膜貫通タンパク質欠損動物および発達障害患者由来変異ノックイン動物の解析を行う。特に新たに観察された行動表現型がどのようなモノアミン動態と関連しているのかを明らかにする。
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Research Products
(4 results)