2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03331
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深田 優子 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 准教授 (40416186)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シナプス / 興奮性神経 / 抑制性神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、興奮性シナプス足場タンパク質PSD-95を起点とした細胞種特異的な興奮性シナプス伝達制御機構を明らかにするために、PSD-95の主要な結合タンパク質ADAM22の遺伝子改変マウスの解析を行った。具体的には、1)脳組織におけるADAM22の局在を特異的に評価できるマウスモデル(ADAM22-FAH マウス)を用いたシナプス超解像観察を行い、ADAM22とそのリガンドLGI1のシナプス局在を詳細に解析した。次に、2)ADAM22のPSD-95結合モチーフを欠損させた変異マウス(ADAM22ΔC5マウス)を解析した。私共は、ADAM22ΔC5マウスでは、シナプス後部のPSD-95ナノドメインが著しく小さくなること、シナプス前部と後部の各ナノドメインの対面整列が乱れること、興奮性シナプス伝達が有意に低下することを見出した。興味深いことに、ADAM22ΔC5マウスの海馬CA1錐体細胞では、PSD-95の過剰発現によるAMPA受容体機能の促進が認められなかった。つまり、ADAM22とPSD-95の結合は海馬興奮性神経細胞における興奮性シナプス伝達に必須な役割を担っていることが明らかになった。さらに、1)このADAM22ΔC5マウスが生後数ヶ月で致死性てんかんを必発すること、また、2)ヒトのてんかん患者症例の中にみられたADAM22変異のひとつが、ADAM22のPSD-95結合を欠失させることを示した。このように、少なくとも興奮性神経細胞の興奮性シナプスにおいて、LGI1-ADAM22-PSD-95からなるタンパク質複合体が、シナプス間の内部装置の対面整列をナノメートル単位で微調整し、てんかん病態と強く関連することが明らかになった(Fukata et al, PNAS 2021)。また、細胞種特異的なシナプスタンパク質複合体の同定のための準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)作製してきた遺伝子改変マウスを有効に用いて、興奮性シナプスにおけるLGI1-ADAM22-PSD-95複合体の生理機能を明らかにした。 (2)神経細胞種特異的な興奮性シナプス構成分子の神経細胞種間の共通点、相違点を明らかにするための解析手法と実験リソースが十分に得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ADAM22ΔC5マウスのシナプス表現型の細胞種特異性を調べる。また、樹立済みの神経細胞種特異的ADAM22ノックアウトマウスにおいて、同様の観察を行い、LGI1-ADAM22の機能に神経細胞種特異性があるかどうかを検討する。 (2)興奮性シナプス構成分子の神経細胞種間の共通点、相違点を明らかにするために、シナプス構成蛋白質を細胞種特異的に精製する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Encephalitis patient derived monoclonal GABAA receptor antibodies cause catatonia and epileptic seizures2021
Author(s)
Jakob Kreye, Sukhvir K. Wright, Adriana van Casteren, Marie-Luise Machule, S. Momsen Reincke, Marc Nikolaus, Laura Stoffler, Scott van Hoof, Elisa Sanchez-Sendin, Hans-Christian Kornau, Angela M. Kaindl, Max A. Wilson, Stuart Greenhill, 他5名, Christian Geis, Yuko Fukata, Masaki Fukata, Harald Pruss
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Journal Title
bioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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