2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis of brain neural circuitry formation and function
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19H03334
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
植村 健 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (00372368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惣谷 和広 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 室長 (80415207)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シナプス / 細胞接着分子 / 神経回路形成 / 再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、シナプス形成阻害候補分子Inrx1の解析を中心に研究を実施した。機能解析ならびに生化学的解析に用いる組換えInrx1の精製法について条件検討を行い、ヒスチジンタグを付加した組換えタンパク質を得ることができた。Nrxn1との結合部位を同定するために、Nrxn1に変異を導入し、生化学的に結合を解析した結果、Nrxn1の硫酸化糖鎖と結合していることが明らかになった。タンパク質ドメインを介した結合については引き続き解析を進めている。また、HEK293T細胞を用いた実験から、Inrx1はNrxn1とNlgn1との結合を阻害する作用を有していることが確かめられた。結合の詳細については不明な点があるが、Nrxn1にNlgn1と競合的に結合することでNrxn1-Nlgn1複合体を阻害しいる可能性を示唆する結果が得られている。同様に、Nrxn1とLRRTM2との結合へ与える影響を解析したところ、Nrxn1-LRRTM2複合体についても複合体形成阻害作用が認められた。Cell aggregation assayにおいても受容体複合体阻害作用が認められたことから、Inrx1はNrxn1を介したシナプス結合を阻害することが示唆された。Inrx1の発現部位について解析するために抗Inrx1抗体を入手し、解析を行った。その結果、Inrx1は脳に加え、腎臓で強く発現していることが明らかとなった。脳神経細胞における発現部位を明らかにするために抗Inrx1抗体を用いた免疫染色を行ったが、免疫染色時の抗体の反応性が悪く、発現部位の同定には至らなかった。また、Inrx1遺伝子KOマウスならびにコンディショナルKOマウスを作成するために、Inrx1ゲノムを単離し、ドナーベクターの構築とsgRNAの配列の選定を行った。これについては次年度にマウスの作成を実施しする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組換えInrx1タンパク質の発現、精製を行ったが、収量が非常に少なく機能解析、生化学的解析を進めるにあたってその都度繰り返して発現、精製を行わなければならなかった。また、機能解析を行うに当たっては、高純度、高濃度の組換えタンパク質が必要であり、組換えInrx1タンパク質が非常に凝集しやすい性質を有していることが明らかになり、ゲル濾過をもちいた高純度のタンパク質が未だ得られていない。その他の実験については概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
組換えInrx1タンパク質については、発現細胞、ヒスチジンタグの位置の変更を行うなど条件検討を行っている。十分量の高純度タンパク質が得られ次第機能解析を進めていく予定である。遺伝子改変マウスについては本年度、ドナーベクターの作成ならびにsgRNAの切断効率の検討を終わらせており、来年度にこれらの材料を用いて遺伝子改変マウスの作成に着手する予定である。さらに、今後、機能解析に新たにウイルスベクターを用いた実験系を導入予定であり、ベクターの構築が終わり次第ウイルスベクターを用いた解析を進めていく。また、神経回路形成を調節しうる新たな分子のスクリーニングを培養神経細胞を用いて進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)