2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis of brain neural circuitry formation and function
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19H03334
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
植村 健 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (00372368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惣谷 和広 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 室長 (80415207)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シナプス / 細胞接着分子 / 神経回路形成 / 再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR-Cas9 システムによるゲノム編集により作製したシナプス形成阻害候補分子Inrx1の遺伝子ノックアウトマウス (KOマウス)の解析を実施した。Inrx1 KOマウスはホモ接合体同士の交配が困難であるため、ヘテロ接合体同士の交配により作製した。Inrx1 KOマウスは正常に発育し、行動に目立った異常は観察されなかった。脳スライスを作製し、脳組織学的解析を行ったが、野生型マウスとの間に目立った差は観察されなかった。一方で、グルタミン酸トランスポーター、AMPA型グルタミン酸受容体などのシナプス機能分子のmRNAの発現をRT-PCRで定量したところ、Inrx1 KOマウスではこれらの遺伝子発現が有意に上昇していることが明らかになった。また、Inrx1とNrxn1との相互作用部位を生化学的に詳細に解析し、Inrx1はNrxn1の硫酸化糖鎖とタンパク質ドメインの両方を認識して結合していることが明らかになった。また、Inrx1の分泌制御機構を明らかにするために、Inrx1とpH感受性GFP改変タンパク質であるpHluorinとの融合タンパク質発現ベクターを構築した。作製した発現ベクターを培養神経細胞に発現させ、融合タンパク質が神経突起に輸送されることが確認できた。共受容体候補分子Cnrx1については遺伝子KOマウスを作製し、小脳の脳組織学的解析を行ったが、野生型マウスとの間に目立った差は観察されなかった。共受容体候補分子Cnrx1の共受容体としての機能を解析する目的で、小脳顆粒細胞でNrxnをノックアウトし、ノックアウト細胞でNrxn細胞質内領域の変異体を発現させたところ、小脳顆粒細胞が細胞死を起こしてしまうことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共受容体候補分子Cnrx1は成体マウスでは小脳顆粒細胞に特異的な発現が認められる。小脳顆粒細胞においてNrxnの細胞内領域を介したシグナルはシナプス形成には必ずしも必要無いとの仮説を立てて研究を進めてきたが、小脳顆粒細胞においてはNrxnの細胞内領域は小脳顆粒細胞の生存に必要不可欠であることが明らかになり、解析方法を変更する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Inrx1 KOマウスの解析については、シナプスレベルでの変化を生化学的、免疫組織学的に解析すると共に、行動学的解析を行い生理学的役割を明らかにする予定である。また、電子顕微鏡を用いた解析によりシナプス構造の詳細についても解析を進めていく。本年度に作製したInrx1-pHluorin融合タンパク質発現ベクターを用いて分泌機構についても解析を進めていく。また、Inrx1がNrxnとは異なる受容体シグナル経路を阻害していることが報告されているので2つの経路を分けうる阻害剤を用いて機能解析を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)