2020 Fiscal Year Annual Research Report
Cortico-basal ganglia mechanism of controlling forelimb movements in rodents
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19H03342
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
礒村 宜和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00415077)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / ラット / 左右肢運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちが左右の手を独立かつ協調的に動かす脳の神経回路の仕組みは、まだ完全には解明されていない。パーキンソン病などの神経疾患では、左右協調運動の制御に障害がみられる。そこで本研究では、ラットの左右半球の一次・二次運動野とその投射先の背外側線条体の領域間経路に注目し、それらの領域の投射細胞がどのように左右前肢運動の制御に関与するのかを解明することを目指している。 これまでに、頭部を固定したラットが左右の前肢を使ってペダルを操作する行動課題(Soma 2017; 2019)を導入した。まず、ラットの背外側線条体に神経毒6-OHDAを注入し、ドーパミン線維を死滅させることで片側パーキンソン病変を作成した。この片側パーキンソン病ラットに左右ペダル操作課題を訓練し、運動機能が代償回復した段階で、両側の大脳皮質-基底核回路の機能的活動を調べた。その結果、一次・二次運動野の神経細胞は特に障害側で左右前肢の対側支配性が低下し、相対的に同側支配が強まったことなどを見出し、国際学術誌に発表した(Rios 2019)。また、このような運動発現に関与する神経活動を評価するために、複数の外界事象(感覚入力、運動出力、行動結果など)と神経活動の時間経過や増減変化との関連性を客観的に定量化する解析手法「Phase-Scaling analysis」を新規に開発した。この解析手法を視覚刺激に応答して前肢運動を発現しているラットの大脳皮質に適用すると、後頭頂連合野の機能的活動は、一次視覚野の感覚関連活動と大きく異なり、むしろ一次・二次運動野の運動関連活動や中間型活動に類似していることが明確になり、同解析法の有用性を実際に示すことができた(Kawabata 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度(第2年度)の主な研究目標は、前肢の運動発現を要する行動課題を遂行するラットの大脳皮質や海馬の機能的活動を計測・解析することである。コロナ禍の影響もあり計測実験は多少遅延しているものの、解析の面ではPhase-Scaling analysis法を確立して国際誌に発表するなど一定の研究成果を得ることができた(Kawabata 2020)。従って、当該年度の本研究計画の実施はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点(当該年度末)では、コロナ禍が続いているものの、本研究はおおむね順調に進展しており、今後の研究の推進方策としても、計画の変更を要する問題点は生じておらず、当初の研究計画に沿って着実に実現していく。これまでに研究成果を数報の論文にまとめており、引き続き左右ペダル操作課題やスパウトレバー操作課題を遂行するラットを対象として、大脳皮質や大脳基底核におけるマルチニューロン活動を記録する行動・生理実験を継続し、さらに掘り下げて解析を加えて前肢の運動発現の仕組みの理解を深めていきたい。
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Research Products
(7 results)