2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of synthetic pathway for lysophosphatidylserine in activated lymphocytes.
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19H03366
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20250219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リゾホスファチジルセリン / GPCR / 感染症 / 免疫増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リゾリン脂質の一種であるリゾホスファチジルセリン(以下LysoPS)に特異的に応答するGPCR(LPS1, LPS2, LPS2L, LPS3)とLysoPS産生酵素PS-PLA1が免疫系に高発現するという事実に基づき、これら分子のKOマウスを用い、LysoPSの免疫系における機能を解析する。R3年は、以下の成果が得られた。LPS1/GPR34が抗原免疫モデルで、免疫が低下する結果が得られていたが、R3年度は、より具体的な免疫が関与する系として、感染モデルと担がんモデルを実施した。肺炎球菌感染モデルにおいて、LPS1 KOマウスは菌体のクリアランス能が小さいことを示すデータが得られた。同様の表現型が、LysoPS産生酵素PS-PLA1 KOマウスでも得られた。LPS1選択的な作動薬の連続投与で肺炎球菌のクリアランスが促進された。MC-38をマウスに移植する担がんモデルでは、LPS1 KOマウスで優位ながん組織の増大を認めた。逆に、LPS1選択的な作動薬の連続投与で、がんが縮小することがわかった。肺腔内、がん組織内の免疫細胞の分布を解析し、樹状細胞数が変化する(KOマウスで少なく、作動薬で増加する)という結果が得られた。以上の結果は、LPS1シグナルが、免疫を正に制御することにより、感染症免疫やがん免疫を正に制御していることを示している。一方、LPS2に関して、LysoPSアナログの中に、拮抗作用を持つものを見出した。LPS2のホモロジーモデルにより、LPS2受容体のLysoPS認識の実態を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、感染症とがんという免疫に深く絡む事象に、LPS1シグナルが関与することが判明し、また、LPS1シグナルの上流としてPS-PLA1が機能することが個体レベルの表現型で示されたことで、本研究が大きく進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
肺腔内、がん組織内のLPS1発現細胞、PS-PLA1発現細胞を同定することで、PS-PLA1-LysoPS-LPS1の免疫増強のメカニズムを細胞レベルで解明することが重要な研究課題である。
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Research Products
(6 results)