2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03367
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 史明 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (40748539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / DOHaD / アミノ酸 / ATF4 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生期にチロシン制限をかけた場合、発生期に若干の遅れがあることが分かった。このような遅れは、必須アミノ酸では顕著にみられる現象ではあるが、他の非必須アミノ酸では顕著ではない。そこで、非必須アミノ酸を制限した状態での体内アミノ酸量を測定すると、チロシン、アスパラギン、セリンの3つに置いてのみ、体内アミノ酸量が減少することが分かった。さらにチロシン制限のみが、飢餓応答の指標として進化的に保存された4E-BP/Thorを脂肪組織に誘導することが明らかとなってきた。Thorは翻訳を制御する因子として知られる為、チロシン制限下の翻訳量を解析すると、有意に減少していることが明らかとなった。 チロシン制限下におけるThor誘導を担う因子として遺伝学的な解析を行ったところ、ATF4がその責任因子であることが明らかとなった。ATF4の活性化をみるレポーター系統の解析から、ATF4の活性は脂肪体に特異的に上昇していることが分かった。さらにこのレポーターが、成体においても活性化し続けていることが見えてきた。 今年度の解析により、チロシン制限をかけた成虫において、ドーパミン量の増加や記憶学習能の向上などは有意な変化が認められなかった。従って、成体の生理機能を変化させる神経発生の不可逆的な影響は限定的である可能性が高まった。 一方、発生期の神経全体に免疫経路の遺伝学的な活性化を引き起こすと、生体において飢餓耐性、中性脂肪蓄積、摂食量の低下などの種々の生理変化がある事が明らかにされたため、その機構を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、発生期のチロシンを操作した場合の、幼虫・成虫の表現型の記述を行った。これにより脂肪組織の新規栄養センシング機構とその意義の解明につながる知見を得ることができた。この結果は、現在論文としてまとめている。一方、神経発生における有意な差は、認められず神経への直接的なプログラミングの効果は弱いと考えられた。今後は脂肪組織での生理変化を起こすメカニズムをさらに詳細に解析することで、成体へと繋がるプログラミング機構の解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度までに得られた実験事実を元に、栄養プログラミングの分子メカニズムを明らかにする。まず幼虫期チロシンがATF4を活性化する分子機構をさらに解明する。またチロシンが非必須アミノ酸にも関わらずATF4活性を制御する生理的意義を明らかにする。ATF4の活性化が、チロシン制限が個体に与える影響を起こす中心的役割を担うかどうかを遺伝学的に明らかにする。ATF4は栄養制限のみならずERストレス、ミトコンドリアストレスなど様々なストレス経路に共通して活性化する転写因子である事が知られている。そこで、これらのATF4活性化条件を発生期に行い、その直下での影響および生体に与える不可逆的な影響を詳細に解析する事で、当該転写因子の生理的な機能を明らかにする。またこのような条件下で、チロシンを摂食させる事で、ATF4活性を低下させる事が可能であるかを調べる。これらの解析を通して、新規栄養プログラミング機構を明らかにする。 さらに、発生期炎症応答が成体の生理機能を変化させる事が見えてきたため、その機構を明らかにする。発生期および成体での遺伝子発現変化の網羅的解析(トランスクリプトミクス)を行う予定である。
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Research Products
(3 results)