2020 Fiscal Year Annual Research Report
Alternative activation mechanisms of receptor tyrosine kinases in inflammation-induced cancer progression
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19H03368
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (00345571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 悟 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (90613498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / シグナル伝達 / 受容体 / 増殖因子 / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFRの細胞内輸送機構について解析を行った。昨年度までに作製したEGFRノックアウトHeLa細胞に、野生型EGFR、または変異体EGFRを再発現した。変異体としては、古典的制御のみを受けるR1m変異体(リン酸化部位の変異)、およびオルタナティブ制御のみを受けるddm変異体(二量体形成不全)を発現させた。これら再発現細胞株をEGFとTNF-alphaで刺激することで、古典的制御のマーカーであるTyr-1068リン酸化とオルタナティブ制御のマーカーであるSer-1015のリン酸化が期待通り選択的に認められた。また、細胞内へのエンドサイトーシスについても、同様にそれぞれの変異体の性質通りに、古典的制御とオルタナティブ制御をそれぞれ受けることを確認した。したがって、古典的制御とオルタナティブ制御の両方を受けるEGFR野生型発現細胞、および古典的制御またはオルタナティブ制御のみを受けるEGFR変異体発現細胞の樹立に成功した。 また、大腸がん治療に用いられているEGFRに対するモノクローナル抗体セツキシマブを用いた抗体薬物複合体創生に向けて、オルタナティブ制御を応用する試みを開始した。その結果、セツキシマブ-EGFR複合体がオルタナティブ制御により効率的にエンドサイトーシスすることを明らかにした。セツキシマブに薬物を結合させた抗体薬物複合体を用いることができれば、薬物を短時間のうちに効率的に細胞内に運ぶことができる可能性が考えられ、今後のがん分子標的治療への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はコロナ禍ではあったものの、何とか研究を進めることができた。特に、EGFRの細胞内輸送機構を解析するための材料を構築することができ点は大きな前進である。また、抗体薬物複合体への応用を目指した研究にも着手したことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFRのオルタナティブ制御については、独自に作製した細胞を用いた研究を実施するとともに、がん細胞における生理機能などについても解析を進める予定である。これら研究成果をまとめ、論文化を実現したい。
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Research Products
(18 results)