2019 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ誘発亜鉛イオン毒性の制御によるアルツハイマー病の新規防御戦略
Project/Area Number |
19H03374
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
武田 厚司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90145714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 亜鉛 / アミロイドβ / アルツハイマー病 / 人参養栄湯 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβ1-42(Aβ1-42)タンパク質は、細胞外Zn2+に依存してZn-Aβ1-42オリゴマーとなり、海馬では速やかに歯状回顆粒細胞に取り込まれ、細胞内ではZn-Aβ1-42からZn2+が遊離し、神経を変性させる。Zn-Aβ1-42から遊離するZn2+はZn2+結合タンパク質であるメタロチオネイン(MT)に捕捉されるが、遊離するZn2+の急速な増加に伴い捕捉されないZn2+が神経を変性させる。 一方、経口投与により脳内でMTを効率よく安全に誘導合成できる物質はこれまで知られていなかった。 本研究では、漢方薬である人参養栄湯を経口投与すると、海馬をはじめ脳内でMT合成が増加してAβ1-42誘発Zn2+毒性が軽減し、海馬神経変性が予防できることがAβ1-42をマウス側脳室に投与したアルツハイマー病モデルで明らかになった。さらに、イグサ成分であるデヒドロエフソールの経口投与によってもAβ誘発記憶障害が改善・予防できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、漢方薬である人参養栄湯を経口投与すると、海馬をはじめ脳内でメタロチオネイン(MT)合成が増加してAβ1-42誘発Zn2+毒性が軽減し、海馬神経変性が予防できることが明らかになった。さらに、イグサ成分であるデヒドロエフソールの経口投与によってもAβ誘発記憶障害が改善・予防できることが明らかとなった。以上、得られた研究成果から、アルツハイマー病克服に向け、本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、漢方薬である人参養栄湯から、メタロチオネイン(MT)合成を増加させる物質を同定し、MT合成のメカニズムを明らかにする。また、イグサ成分であるデヒドロエフソールによるAβ毒性軽減作用がMT誘導合成によるものか、そうであればその誘導合成のメカニズムを明らかにする。
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