2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of CNS inflammatory circuit by combination of glial cell regulation and PET / MRI imaging
Project/Area Number |
19H03377
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グリア細胞 / ミクログリア / 慢性脳低灌流症 / 白質傷害 / 認知機能障害 / CNS炎症 / 加齢 / TRPチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアは、中枢神経系(CNS)の免疫細胞であり、様々なCNS疾患で過剰に活性化していること、一方で神経保護と神経傷害の両方に重要な細胞であることもよく知られている。そこで本研究では、コロニー刺激因子1受容体阻害薬であるPLX3397を用いてミクログリアを枯渇させることにより、BCAS病態におけるミクログリア除去の正確な影響を検討した。その結果、PLX3397を給与したマウスではミクログリアが枯渇し、炎症性サイトカインであるIL6およびTNFαの発現が抑制され、白質傷害の減弱および認知機能障害の改善が認められた。以上の結果から、ミクログリアは慢性脳低灌流による認知障害や白質障害の発症に神経毒傷害的な役割を果たしていることが示された。 さらに、我々は加齢に伴う認知機能低下におけるミクログリアの役割の検討も行った。以前我々は、脳や免疫細胞に高発現する活性酸素感受性のCa2+透過型カチオンチャネルであるTRPM2を介した中枢常在性ミクログリアの活性化がBCAS病態の増悪に関与していることを、若齢マウスを用いた検討により明らかにしていた。そこで、24ヶ月齢の老齢マウスを用いて、野生型とTRPM2欠損マウスを用いて比較検討したところ、野生型マウスで観察された空間認知機能低下がTRPM2欠損により有意に抑制された。免疫組織化学的検討を行ったところ、脳梁でオリゴデンドロサイトと想定されるGSTpi陽性細胞数の減少傾向や、ミクログリア/マクロファージと想定されるIba1陽性細胞数の増加が認められたが、TRPM2欠損老齢マウスでは観察されなかった。以上の結果より、加齢に伴う認知機能の低下にTRPM2が関与し、そのメカニズムとしてTRPM2を介したミクログリア/ マクロファージの活性化が関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病態モデルにおけるミクログリアの詳細な役割を報告することができ、さらに生理的な脳内炎症を惹起する加齢のマウスを用いて、ミクログリア・マクロファージの役割やその分子標的に関する知見を報告することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは残された課題である、放射性同位元素を用いたPET/CT,MRIによる描出化に注力する。幸いなことに白質傷害(ミエリン鞘変性/脱髄)を検出可能な放射性同位元素を用いた新規プローブの開発に成功しつつあるので、引き続き当該実験を遂行する。 また、グリア細胞機能制御を可能にする創薬標的としてのTRPチャネルの探索研究に関しても、マウスBCASによる慢性的な脳低灌流状態により惹起される認知機能障害があるTRPチャネルの欠損により増悪すること、当該TRPチャネルが一部のグリア細胞に機能的に発現していることを見出していることから、引き続きin vivoおよびin vitroの両面から当該TRPチャネルが関わる病態メカニズムを解析する。 さらに他のグリア細胞の病態生理機能として、アストロサイトやOPCの病態生理学的役割およびその分子標的に関する有用な知見を得つつあるので、当該実験もin vitroおよびin vivoの両面から鋭意遂行する。
|
Research Products
(10 results)