2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of CNS inflammatory circuit by combination of glial cell regulation and PET / MRI imaging
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19H03377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリア細胞 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 白質傷害 / CNS炎症 / 脱髄性疾患 / SPECT / TRPV4 / TRPM3 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは以前、TRPV4刺激薬がミクログリア活性化を抑制することを報告している。そこで本年はマウス線条体へのコラゲナーゼ注入により惹起される脳内出血(ICH)モデルに対するTRPV4刺激薬の効果を検討した。TRPV4選択的アゴニストであるGSK1016790Aを投与すると、神経学的および運動学的障害が顕著に抑制され、この作用はTRPV4-KOマウスでは完全に消失していた。定量的RT-PCR実験により、TRPV4刺激薬GSK1016790Aは、ICH誘発1日後の神経活動マーカーであるc-fosの発現レベルを有意に上昇させていたことから、TRPV4刺激による神経活動の上昇がICH誘発脳機能障害を改善することが明らかとなった。 さらに本年はオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)に関しても検討した。OPCは、一部の脱髄疾患や虚血時の脳病変部で増加することが報告されているため、ラットendotheline-1誘発虚血モデルを精査したところ、脱髄病変部ではTrpm3陽性OPCの数が顕著に増加していた。TRPM3はin vivoおよびin vitroのOPCで機能的に発現しており、虚血傷害やTNFα処置などの炎症状態で発現量が増加することも明らかにし、TRPM3が虚血病態におけるOPCの特異的な行動の制御に関与している可能性を示した。 また本年は、ミエリンをターゲットとしたイメージングプローブとして,8種類の新規放射性ヨウ素化3-フェニルクマリン誘導体を設計・合成し評価した。ex vivoオートラジオグラフィーでは,ジメチルアミノ基を有する [125I]21が,正常マウスの脳内でミエリンに対して高い結合親和性を示すこと、実験的自己免疫性脳脊髄炎マウスの脊髄白質においてミエリン密度を検知できることを示し、ミエリンのSPECTプローブとしてこの化合物が利用できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルにおけるTRPV4およびTRPM3の病態生理学的役割を示唆する報告をすることができ、さらに脱髄性疾患モデルを用いて放射性同位元素を用いた新規プローブによるSPECT描出化に一部成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性同位元素を用いた新規プローブによるPET/SPECTによる描出化は一部成功しており、引き続き当該実験に注力する。 また、グリア細胞機能制御を可能にする創薬標的としてのTRPチャネルの探索研究に関しても、マウスへのBCASによる慢性的な脳低灌流状態により惹起される認知機能障害に影響する知見を得ていることから、引き続きin vivoおよびin vitroの両面から当該TRPチャネルが関わる病態メカニズムを解析する。 さらに他のグリア細胞の病態生理機能として、ミクログリアやアストロサイト、OPCの病態生理学的役割およびその分子標的に関する有用な知見を得つつあるので、当該実験もin vitroおよびin vivoの両面から精査する。
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Research Products
(10 results)