2019 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトウイルス受容体を介した血液脳関門突破機構に基づくエクソソームの脳細胞標的化
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19H03390
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
立川 正憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (00401810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70451630)
福田 達也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (90805160)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子中枢薬の脳への薬物送達を実現するためには、脳毛細血管内皮細胞を実体とする血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)の透過技術に加え、神経細胞やグリア細胞への輸送標的化の基盤技術開発が重要である。そこで本研究は、ヒトBBBにおけるエクソソーム輸送の仕組みを解明することを目的とした。ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞の培養上清から、超遠心分離法を用いて細胞外膜小胞の単離を行った結果、細胞外膜小胞は、平均粒子径約120 nmであり、エクソソームの物理化学的特性を有していることが示された。回収したエクソソームをPKH67で蛍光標識し、ヒトBBB in vitroモデル細胞(hCMEC/D3細胞)への取り込み活性及び温度依存性を解析した。エクソソームの細胞内取り込みは、37℃と比較し4℃において有意に低下することが示され、エクソソームのBBB輸送には、脳毛細血管内皮細胞内へのエネルギー依存的な取り込み機構が関与することが示唆された。BBB輸送の分子機構を解明するため、エクソソーム上のリガンド-BBB受容体タンパク質の相互作用を明らかにすることは重要である。そこで、網羅的定量プロテオミクスを用いて、エクソソーム上に発現するタンパクを網羅的に同定し、ヒト脳血管内皮細胞上の膜タンパク質との相互作用についてパスウエイ解析や文献情報をもとに、絞り込みを行った。以上の結果から、エクソソームをキャリアーとして用いた脳への高分子薬送達の学術的基盤構築につながるデータを蓄積することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、ヒト脳血管内皮細胞を用いたエクソソームの取込み活性の解析、網羅的定量プロテオミクスによるエクソソーム上タンパク質の網羅的同定、及び取り込み機構の絞り込みを行った。さらに、研究分担者との連携によって、エクソソーム脳細胞輸送評価系のプロトタイプの構築を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血液脳関門(脳血管内皮細胞)におけるエクソソーム受容体とエクソソーム上のリガンドの同定を効率よく実施するため、網羅的定量プロテオミクス・メタボロミクスの精緻化を図るとともに、システムバイオロジーの専門家からの助言を仰ぐことによって、研究を推進する。さらに、研究分担者との連携を強化し、デバイスの改良等を行い、脳細胞への輸送標的化の検証を行うための評価系の構築を加速させる。
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Research Products
(7 results)