2020 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of lipid signaling and remodeling in nerve injury
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19H03395
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木山 博資 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00192021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経再生 / 神経変性 / グリア / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質受容体として知られるTREM2/DAP12複合体の健常脳における機能について、本研究の一部の成果を踏まえて総説を発表した(Konishi & Kiyama, Neurochem Int 2020)。また、コレステロールトランスポーターのABCA1を介した損傷神経再生メカニズムについては引き続き遺伝子改変動物を用いて検討している。リゾフォスファチジルセリン受容体のGPR34については、硬膜内の肥満細胞やマクロファージとの関連でも研究を進めている。これらとは別にミクログリアをはじめとした神経系細胞の形態変化を誘導する因子として、フォスファチジルセリンの局在によるCdc42の局所へのリクルートが重要であることを我々は以前報告した(Tokizane et al, Glia 2017)。また、このCdc42と機能的に相同で神経細胞に発現するTC10が損傷後の運動神経が再生する際に強く発現誘導され、膜の形態変化(神経突起形成)に関わることも報告した(Tanabe et al, J Neurosci 2000)。本年はTC10コンディショナルノックアウトマウスなどの遺伝子改変動物が揃ったことから、TC10が損傷神経の再生に必要であることをin vivoで証明した(Koinuma et al, J Neurochem 2020)。また、神経損傷時や神経変性疾患においてミクログリアが変調をきたした時に、アストロサイトが代わって貪食を行うこと、その際、貪食標的細胞の膜脂質フォスファチジルセリンとそれに結合する介在分子や受容体をメディエーターとして貪食するメカニズムを明らかにした(Konishi et al, EMBO J 2020)。以上のように、軸索損傷後の神経細胞や周辺グリア細胞間で引き起こされる様々な現象動態には脂質が関与し、損傷神経の応答や再生に関係していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度 4月にはSARS-Cov-2の感染拡大により、愛知県が感染拡大警戒地域に指定され不要不急の出勤等の自粛が求められた。さらに同時に研究や動物利用に制限がかかり(飼育マウス数の1/3削減)、遺伝子改変動物の供給に支障をきたした。この結果、ABCA1や一部の遺伝子改変動物を使用した研究に若干の遅れが生じている。しかし、これ以外の研究については概ね順調に進んでいる。ABCA1はコンディショナルノックアウト動物を用いて神経再生に及ぼす影響を舌下神経損傷モデルを用いてスケールダウンして解析を進めている。再生の指標にはATF3プロモータ下で神経損傷に応答してミトコンドリアがGFP標識されるAtf3BACトランジェニックマウスとの交配により進めている。リゾフォスファチジルセリン受容体のGPR34については、脳硬膜のマクロファージや肥満細胞との関連からも解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も5月より愛知県は緊急事態宣言に入ったが、現時点では予定通りの進捗を考えている。ただ、SARS-Cov-2の今後の感染状況次第では愛知県や大学本部による研究等への規制により遅滞もありうる。一方で、成果発表のために予定していた海外学会での大変での発表は不可能になり、Web参加を予定している。最終年度の研究とりまとめについては計画通りに行うことを予定している。
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[Journal Article] Astrocytic phagocytosis is a compensatory mechanism for microglial dysfunction2020
Author(s)
Konishi Hiroyuki、Okamoto Takayuki、Hara Yuichiro、Komine Okiru、Tamada Hiromi、Maeda Mitsuyo、Osako Fumika、Kobayashi Masaaki、Nishiyama Akira、Kataoka Yosky、Takai Toshiyuki、Udagawa Nobuyuki、Jung Steffen、Ozato Keiko、Tamura Tomohiko、Tsuda Makoto、Yamanaka Koji、Ogi Tomoo、Sato Katsuaki、Kiyama Hiroshi
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 39
Pages: e104464
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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