2019 Fiscal Year Annual Research Report
適材適所なイオンチャネル機能を支えるタンパク質脂質間相互作用の包括的理解
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19H03401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡村 康司 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80201987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 喬文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70614915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオンチャネル / ホスファチジルイノシトールリン酸 / 膜コンパートメント / 膜オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Nav1.4のPIP2感受性を解析する手法の確立:速い不活性化を示すwild typeのままではVSP共発現系を用いてのNav1チャネルのPIP2感受性を調べる解析が困難であるため、速い不活性化を示さないWCW変異体を用いて、パルスプロトコールの検討を行った。この過程で意外なことに、膜電位変化にかかわらず時間の経過とともにWCW変異体ではNa+電流量が増加するという新規の現象が観察された。Wild typeのチャネルでは見られない現象であり、WCW変異での遅い不活性化ゲートへの影響によるavailabilityの変化などが背景にあると考えられた。 2.精子特異的K+チャネルSlo3について、VSPを用いてPIP2感受性をXenopus oocyteでの発現系で解析した。高い電位での強い酵素活性誘導によって初めてSlo3電流の減少が観察され、従来報告されてきたSlo3の高いPIP2への結合と矛盾しない結果であった。 VSPの分子機構の改変による分子ツール開発の解析:これまでにVSPの酵素活性に重要であることが明らかであったhydrophobic spine に変異を導入し疎水性を増加させることで、従来のVSPよりも強い電位依存性酵素活性を示すenhanced VSPを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nav1.4のPIP2感受性を解析する手法の確立:Nav1チャネルのPIP2感受性を検証するため、速い不活性化が生じないことが知られているWCW変異体を用いて、VSPとの共発現実験を試みた。遅い不活性化機構の変化によるavailabilityの変化と思われる現象によりWCW変異体のNa+電流量が増大する現象が見られ、これはNav1チャネルのゲーティング機構の側面では興味深い現象であるものの、VSPを共発現させる解析法には、不都合な現象であり、今後実験系を組み直す必要がある。 精子特異的K+チャネルSlo3: VSPノックアウトマウスの解析から、精子の鞭毛において尾部後方でPIP2が少なく前方で多いという密度勾配を形成しており、PIP2感受性が高い状況でPIP2の分布を制御することで活性化するSlo3チャネルの量を制御するという、PIP2によるイオンチャネル制御機構として新規のメカニズムを提示することとなった。またSlo3の副サブユニットがPIP2感受性を調節する可能性についても検討をした結果、alpha subunitのみでPIP2感受性が決まっていることが明らかになった。 また、VSPの分子機構の改変による分子ツール開発を試み、従来のVSPよりも強い電位依存性酵素活性を示すenhanced VSPを構築することに成功し、多くの研究者が培養細胞発現系において頻繁に分子ツールとして用いているゼブラフィッシュ由来VSPにおいても同様な変異体を作製した(論文を国際誌に発表し研究コミュニティーで広く活用できるようAddgeneに登録した)。また基質特異性を3-phosphatase活性と5-phosphatase活性の間での割合を決定するのに重要な候補部位を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
電位依存性Na+チャネルのPIP2感受性については、WCW変異体が時間依存的な電流量の増加を示すことが障壁となりVSPを分子ツールとして使えない状況である。今後電位依存性Naチャネルの種類を変えて解析を試みるか、Wortmanninなどの薬理学的にPIP2レベルを変更する手法でwild typeのチャネルについて解析を行うことを検討する。Slo3については、細胞内側からPIP2以外に作用する因子の影響も検討していく予定である。また分子ツールとしてのVSPの改変については、基質特異性を3-phosphatase活性と5-phosphatase活性の間での割合を決定するのに重要なアミノ酸部位の候補部位に注目し、今後アミノ酸変異体について、PIPsセンサーを用いた酵素活性の解析を行い、基質特異性に変化が見られるかを検証する予定である。
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Research Products
(22 results)
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[Presentation] Function of voltage-sensing phosphatase in mouse sperm2019
Author(s)
Kawai T, Miyata H, Nakanishi H, Sakata S, Okochi Y, Watanabe M, Fujimoto T, Sakimura K, Sasaki T, Ikawa M, Okamura Y
Organizer
60th International Conference on the Bioscience of Lipids(ICBL2019)
Int'l Joint Research
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