2020 Fiscal Year Annual Research Report
適材適所なイオンチャネル機能を支えるタンパク質脂質間相互作用の包括的理解
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19H03401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡村 康司 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80201987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 喬文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70614915)
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, フェロー (40162325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオンチャネル / イノシトールリン脂質 / 電位センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
神経伝達物質受容体チャネルのPIP2感受性の解析を進め、VSPの基質特異性の厳密化を検討した。 1.GABA(A)RのPIP2感受性の解析 今回神経伝達物質受容体イオンチャネルのGABA(A)受容体に対象を拡張した。低温電子顕微鏡による単粒子解析で得られたヒト由来GABA(A)Rの構造(Laverty D, et al. Nature 2019)にはPI(4,5)P2が結合するがその機能的意義は不明である。ツメガエル卵母細胞にGABA(A)Rを発現させ、2本微小電極による膜電位固定法によりPI(4,5)P2感受性を検討した。VSP活性により内在性内向き電流がGABA(A)RによるCl- 電流と重複するという問題や、GABAの還流状況によって脱感作による電流減少を厳密に区別し難い状況が判明した。eVSPや野生型VSPの発現量の調節やRNAの注入後の計測時期、GABAの還流系の条件検討を行った結果VSP活性化後にGABA(A)R電流が減る現象が確認された。 2.基質特異性の改変 VSPはPI(4,5)P2をPI(4)Pに脱リン酸化する活性を示す一方、弱いながらPI(3,4)P2をPI(4)P に、PI(3,4,5)P3をPI(4,5)P2とPI(3,4)P2に変換する活性を示す。これを解決するべく活性中心部位C363付近のアミノ酸K364に着目し、アミノ酸変異体を作製し、基質特異性の検討を行った。基質特異性の検討を、FRET型センサーであるF-PLC(PI(4,5)P2に特異的)とF-TAPP(PI(3,4)P2に特異的)を用いてfluorometry計測をおこなった。その結果いくつかの変異体でF-PLCで検出されるPI(4,5)P2の脱リン酸化よりもF-TAPPにより検出されるPI(3,4)P2の脱リン酸化が低下することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PI(4,5)P2依存的なイオンチャネル活性に関して、研究対象を今回はじめて、神経伝達物質受容体イオンチャネルに拡張して計測を行った。その結果、これまでPI(4,5)P2感受性がないと考えられてきたGABA(A)RについてPI(4,5)P2感受性が存在する可能性が示された。またVSPの基質特異性をPI(4,5)P2に厳密化する目的で、活性中心付近のアミノ酸変異導入を行った結果、この変異によりPI(3,4)P2の脱リン酸化活性を減弱できることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後更にVSPとGABA(A)Rを共発現される実験条件や、GABA(A)Rの活性を定量する条件などを最適化することで、PI(4,5)P2への感受性の確認と、その構造活性相関を明らかにしていく。また、今後哺乳類培養細胞で分子ツールとして頻繁に用いられているzebrafish由来VSPについて、Ci-VSPで今回明らかにされたものと同様な変異を導入することで分子ツールとしての改良を行う。
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Research Products
(26 results)