2020 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of the molecular bases of liberation of germ cells from Max-dependent suppression of meiotic onset
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19H03426
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
奥田 晶彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 歩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80639708)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / ES細胞 / 減数分裂 / 非典型的PRC1 / Max / Mga |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、本研究を開始した時点で、ES細胞が、生殖細胞ではないにも関わらず、減数分裂を開始できる潜在能力を有しており、PRC1複合体のサブタイプの一つであるPRC1.6複合体が、ES細胞が、この潜在能力を発揮して、異所性に減数分裂が起こらないように強力に抑制していることを明らかにしていた。そして、2019年度は、PRC1.6複合体の構成因子の一つであるMaxをコードする遺伝子に対するコンディショナルノックアウトマウスを用いることで、同複合体がES細胞での異所的な減数分裂を抑制するだけではなくて、生殖細胞での生理的な減数分裂の開始時期の調節に関わっていることを示唆する予備的なデータを得ている。 2020年度においては、シナプトネマ複合体形成の有無について検討する為の免疫組織学的な解析などを行うことで、上記の予備的な実験結果をさらに確固たるデータとして確定することができた。なお、胎児期の生殖細胞でMax遺伝子をノックアウトした場合、雄雌いずれの場合も、減数分裂に対する促進効果が見られるのみならず、トータルの細胞数の顕著な低下が見られた。このことは、生殖細胞が減数分裂を開始するためにはPRC1.6の不活化は必要であるが、減数分裂の途中の段階から、PRC1.6の機能が復活する必要がある、もしくはPRC1.6の構成因子としての役割以外のMaxの機能が必要であることを示唆しているのではないかと考え、現在検討しているところである。 その他、PRC1.6複合体におけるMaxのパートナー因子としての役割を果たしているMgaタンパク質をコードする遺伝子からの選択的スプライシングについての解析を完了させ、原著論文として採択されるに至らせることができた。その他、Mgaタンパク質が有する2つのDNA結合ドメインの相対的な重要性に関する研究をまとめ、論文を投稿することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Maxコンディショナルノックアウトマウスを用いた解析については、胎生期のどの時期にタモキシフェンを用いてMax遺伝子を欠失すると減数分裂の促進としての最も大きな効果が見られるかといったことを詳細に探ったり、減数分裂という現象を遺伝子の発現レベルの変化だけではなくて、細胞の形態の変化でも捉えるなどの解析を入念に行った結果、本研究を、論文として投稿・発表できる状態にかなり近づけることができたと考えている。その他、Maxタンパク質と相互作用することで、PRC1.6複合体の中のコア部分を形成するMgaタンパク質およびそれをコードする遺伝子についての計2つの論文を完成させ、投稿するまでに至り、しかも、その一方については採択という結果まで到達できた点も、「おおむね順調に進展している」という選択肢を選んだ根拠の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
Maxコンディショナルノックアウトマウス解析については、Max遺伝子の欠失に伴って生殖細胞の数が顕著に低下する原因がMaxのPRC1.6複合体での機能に関連しているものなのか、それともPRC1.6の構成因子としての役割とは異なるMaxの機能によるものなのか、また、この細胞数の減少がアポトーシス等による細胞の死滅によるものであるか、あるいは細胞増殖速度の低下によるものであるのか、2021年度のできる限り早い時期に明らかにし、本年度内での論文受理を目指し、論文を投稿したいと考えている。Mgaタンパク質のドメイン解析についての論文は、現在、reviseの状態にあり、これについてもできる限り早い時期に論文が受理されるように努力したい。
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Research Products
(6 results)