2019 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated functional analysis of the novel tumor suppressor genes OMD and PRELP, and their application to treatment of cancer
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19H03429
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
浜本 隆二 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80321800)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SLRP family / OMD / PRELP / がん抑制遺伝子 / トランスクリプトーム解析 / パスウェイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Small leucine-rich repeat proteoglycan (SLRP) familyであるOMDとPRELPは、我々ががん抑制機能を保持していることを初めて発見した新規がん抑制遺伝子で、その機能や発現調節機構に関しては、依然不明な点が多い。そこで本研究においては、これら新規がん抑制遺伝子の機能を、トランスクリプトーム解析及びシステムバイオロジーの観点から機械学習・深層学習技術も導入し統合的に解析し、さらに分子生物学や生化学的手法を用いてOMD及びPRELPの詳細な機能の解明を行うことを目的としている。 2019年度においては、OMDとPRELPの機能解析としてトランスクリプトーム解析を行った。解析対象の細胞株としては、OMD及びPRELPを発現している膀胱がん細胞株である5637細胞を用い、siRNAでOMD及びPRELPをノックダウンした細胞からtotal RNAを単離し、Affymetrix社のGeneChipシステムを用いて、変動がある遺伝子群の解析を行った。また、Flp-In T-REx哺乳類発現制御システムを用いて、テトラサイクリンでOMD及びPRELPの発現誘導を行った細胞、及びテトラサイクリン無処理のコントロール細胞双方からtotal RNAを単離し、同じくAffymetrix社のGeneChipシステムを用いて、変動がある遺伝子群の解析を行った。さらに、ノックアウト実験及びテトラサイクリン発現誘導実験双方を統合させ、パスウェイ解析も行った。その結果、OMD及びPRELPはp53 signaling、PI3/AKT signaling、Wnt/beta-catenin signaling、TGF-beta signalingを制御して発がんに寄与していることが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度においては、OMDとPRELPの機能解析としてトランスクリプトーム解析及びパスウェイ解析を行うことを予定していたが、順調通り研究は行われ、またOMDとPRELPが制御していると考えられれる、細胞内パスウェイの同定にも成功した。以上の事から、本研究課題は当初の予定通りおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度にに引き続き、トランスクリプトーム解析及びパスウェイ解析を行い、OMD及びPRELPの包括的な機能解析を行うが、システムバイオロジーの観点から機械学習・深層学習技術も積極的に導入する予定である。また2020度以降は、包括的解析のデータに基づき、生化学的・分子生物学的手法を用いて、機能解析を行う。具体的には、包括的解析のデータにより示唆される、OMD及びPRELPが制御している主要な細胞内カスケードを制御する因子の活性化状態などを、Flp-In T-REx哺乳類発現制御システムを用いて、テトラサイクリンでOMD及びPRELPの発現誘導するシステム、及びOMD及びPRELPを発現している膀胱がん細胞株である5637細胞を用い、siRNAでOMD及びPRELPをノックダウンするシステムを用いて検証する。また本研究代表者の研究グループは電子顕微鏡を用いて、野生型マウスの膀胱組織においては、umbrella 細胞間でタイトジャンクションが形成されているが、OMDノックアウトマウス、PRELPノックアウトマウス、OMD/PRELPダブルノックアウトマウスにおいては、タイトジャンクションが消失していることを発見した。以上のことより、OMD及びPRELPはタイトジャンクション形成に関与している可能性がある為、そのメカニズムを解明する。具体的には、野生型マウス・ノックアウトマウス由来の膀胱切片をクローディン、オクルディン、ZO-1などタイトジャンクション構成分子を認識する抗体を用いて組織免疫染色を行い、ノックアウトマウス由来の膀胱組織において、タイトジャンクションが消失していることを確認すると共に、膀胱細胞株にOMD及びPRELPを強制発現させた場合におけるタイトジャンクションの形成に関しても、培養細胞の蛍光免疫染色法を用いて検証する。
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