2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規マウスモデルを用いた細胞老化制御機構の解明による『老い』の分子基盤の構築
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19H03431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城村 由和 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40616322)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老化 / DNA損傷 / 一細胞解析 / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化は個体老化・加齢性疾病の発症・進展に深く関与することが知られている。生体内における細胞老化の役割を解明するために、本研究を実施するにあたり重要なツールとなる、p16INK4Aプロモーターの下流にCreERT2リコンビナーゼ遺伝子を組み込んだ老化細胞特異的ノックアウトや遺伝子発現を可能とする『p16-CreERT2マウス』樹立に成功した。さらにp16-CreERT2マウスとROSA26-lsl-tdTomatoマウスを交配することにより、タモキシフェン投与依存的に老化細胞を蛍光標識することで、世界で初めて老化細胞を個体で同定・単離・トレースを可能にした。実際に、この『p16-tdTomatoマウス』を用いて、正常・非アルコール性脂肪肝炎を誘導した肝臓における一細胞RNA-seq解析を行った結果、病態に応じて様々な細胞種が老化細胞になることが分かった。 一方、老化細胞は細胞周期のG2期において一過的なp53の上昇によるM期の回避により誘導することができることを利用して、S,G2,M期で発現することが知られているGeminin(1/100)と、p53が恒常的に活性化している変異体p53-TSDを組み合わせることで、ROSA26-lsl-p53-TSD-geminin(1/100)マウスを作製し、様々な臓器・組織・細胞種特異的なプロモーター下流でCreERT2を発現するマウスと交配させることで、老化細胞を任意のタイミングで誘導可能なマウスモデル『p53-TSDコンディショナルマウス』の樹立に成功した。さらに、CAG-CreERT2を交配することで、全身性に細胞老化誘導の促進を行ったところ、早老症の表現系が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施する上で鍵となるツールである、老化細胞を個体で同定・単離・トレースを可能な『p16-tdTomatoマウス』と、老化細胞を任意のタイミングで誘導可能なマウスモデル『p53-TSDコンディショナルマウス』の樹立に成功した。さらに、それらを用いた予備検討により、計画時点で期待していたような老化細胞の一細胞解析や早老症の誘導が可能であることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
老化細胞を個体で同定・単離・トレースを可能な『p16-tdTomatoマウス』と、老化細胞を任意のタイミングで誘導可能なマウスモデル『p53-TSDコンディショナルマウス』の樹立・予備検討が予定通りに完了したため、これらのマウスモデルを用いて、当初より計画していた実験を進める。
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Research Products
(1 results)