2020 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive genomic analysis of central nervous system germ cell tumors and generation of their cellular model
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19H03440
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
市村 幸一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40231146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 護 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (40391916)
杉原 英志 筑波大学, プレシジョン・メディスン開発研究センター, 准教授 (50464996)
小島 洋児 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (70720811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中枢神経系胚細胞腫 / 全ゲノム解析 / 生殖細胞 / iPSC |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度に引き続き中枢神経系胚細胞腫、特にジャーミノーマの全ゲノム解析を行った。令和元年度にショートリードシークエンスを行ったジャーミノーマの17例に対して、数例を選択してナノポアシークエンスによる全ゲノムのロングリードシークエンスを行った。ロングリードシークエンスにより腫瘍で約40x、非腫瘍組織で10-20x程度のリードを得ることができた。腫瘍組織での平均リード長は約12kb、非腫瘍組織では約20kbであった。現在、ロングリードシークエンスとショートリードシークエンスの結果を組み合わせることにより、染色体再配列などの構造解析、LINE1などレトロトランスポゾンの異所的な挿入の解析を進めている。またロングリードシークエンスの結果を用いて、レトロトランスポゾンシークエンスにおけるDNAメチル化の解析を進めている。hiPSCにKITのD816V変異を導入した細胞に対しては、始原生殖細胞様細胞に誘導した結果、KIT変異を持つPGCLCはKIT野生型の始原生殖細胞様細胞に比べてKITリガンド(SCF)に対する依存性が少ないことが分かった。さらにKITがリガンドなしに自己リン酸化されていること、およびAKTがリン酸化されていることを発見した。一方ERKのリン酸化は認められず、KIT変異が活性化するシグナル伝達経路は主にPI3K-Akt経路であることが示唆された。KIT変異を導入した始原生殖細胞様細胞はさらにgonocyteまで分化させることが可能であった。KIT変異を持つ分化させたgonocyteの発現プロファイルは正常のgonocyteと近似していた。ジャーミノーマの発現プロファイルとの比較から、ジャーミノーマではPI3K-Akt経路が活性化していることが分かった。精巣に発生するセミノーマの発現プロファイルはジャーミノーマと相似しており、両者に共通する発生機序の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界的なコロナ禍の中で消耗品の調達が遅れ、Nanoporeシークエンスが予定ほどには症例を増やすことができなかったが、全体として全ゲノム解析についてはおおむね順調に進んでいる。hiPSCにKIT変異を誘導した細胞の機能解析については順調に進んでおり、現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は全ゲノムシークエンスのデータからcoding regionのsomatic variantやsmall indelを血液と腫瘍の比較により検出し、既存のexome sequenceのデータと比較し、CNSGCTの体細胞性点突然変異を再評価する。またプロモーターやエンハンサー領域を始めとした、noncoding regionについてsomatic variantを解析する。さらにNanopore sequencingを用いたロングリードシークエンスを行い、ゲノム再配列と融合遺伝子の有無を既存のRNAシークエンスの結果と比較して検索する。また先行研究によりCNSGCTの亜型であるgerminomaではglobal DNA hypomethylationが起きることを示したが、これを発展させ、 Nanopore sequencingのデータからレトロトランスポゾンにおけるDNAメチル化の状態を解析し、またレトロトランスポゾンの活性化とゲノム上の異所性の挿入の有無をゲノムシークエンスとRNAシークエンスの結果の比較から検討する。KIT変異を導入し始原生殖細胞に誘導したhiPSCに対しても同様の変化が起きているかを検討する。以上の結果を総合し、ゲノム・エピゲノムの統合的な解析からCNSGCTの発がん機序を探索する。
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Research Products
(2 results)