2020 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫特異的Tr27細胞の感染制御における役割と抗原認識に関する研究
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19H03460
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
由井 克之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90274638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 信一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20466030)
高島 英造 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (50366762)
木村 大輔 神戸女子大学, 健康福祉学部, 教授 (50423637)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | T細胞 / サイトカイン / 樹状細胞 / マクロファージ / マラリア / 免疫制御 / 抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-27p28-floxedマウスをCD11c-Cre, LysM-Creマウスにそれぞれ交配し、樹状細胞とマクロファージにIL-27を欠損するマウスを作成した。これらマウスとコントロールマウスにマラリア原虫Plasmodium chabaudiを感染させ、免疫応答に違いが生ずるか解析を行なっている。予備的な結果では、樹状細胞とマクロファージにIL-27産生欠損があるとT細胞応答に大きな違いが生ずる可能性を示唆するデータを得ている。追加実験により確認中である。 T細胞については、IL-27産生細胞はTr27細胞と呼ばれ、マラリア免疫応答における制御機能が示されている。当初はIL-27p28-floxedマウスをLck-Creマウスに交配したが求めるマウスを得ることができず、CD4-Creマウスに変更して交配をやり直し、T細胞にIL-27を欠損するマウスを得ることができた。交配により十分マウスの数を増やし、T細胞にIL-27が欠損した場合(Tr27細胞欠損)について解析を行う予定である。 Tr27細胞の認識するマラリア原虫抗原については、前年に引き続き熱帯熱マラリア原虫タンパク質パネルを用いて研究を行った。前年までの研究で、マラリア原虫Plasmodium chabaudi感染マウスのCD4T細胞を用い、熱帯熱マラリア原虫抗原に対する交叉反応を利用して組換え抗原タンパク質の非精製分画を用いてスクリーニングを行った。前年までに、IFN-γ(+)IL-27(-)の原虫抗原6種類に絞っていたので、これらの抗原を大量に作成、精製し、T細胞応答を調べた。しかしながら、精製抗原を用いるとT細胞のIL-27産生を再現することができなくなった。抗原量が不足している可能性を考慮し、C57BL/6マウスのMHC-I結合エピトープのモチーフを有する抗原ペプチドを合成してT細胞応答を調べたが、やはりT細胞応答を再現することはできなかった。T細胞応答のアッセイには、精製度の高い抗原タンパク質を十分量準備する必要があり、現時点では技術的困難が大きいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞、樹状細胞、マクロファージにそれぞれIL-27産生欠損のあるマウスの解析が進んでいる。抗原解析に関しては、熱帯熱マラリア原虫タンパク質によるスクリーニングには技術的な困難があることが明らかになった。問題点を回避できる方策を探る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞、樹状細胞、マクロファージにそれぞれIL-27を欠損するマウスの研究を中心に据え、IL-27を介した免疫制御と各産生細胞の関連を解明する。抗原解析については、引き続き問題点を回避する方策を探る。
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Research Products
(4 results)