2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03468
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平安 恒幸 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 特任准教授 (30585170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫逃避機構 / 宿主細菌相互作用 / 免疫レセプター / アリル多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制化レセプターは正常細胞に発現するリガンドを認識し、正常細胞には過剰な免疫応答を起こさないように免疫細胞を制御する役割を担っている。ところが、マラリア原虫などは、抑制化レセプターに対する独自のリガンドを進化させて免疫から逃れることがわかってきた。そこで本研究では、マラリア原虫だけでなく細菌にもこのような免疫逃避機構が存在しているのではないかと考え、Leukocyte immunoglobulin-like receptors (LILR)ファミリーに着目して、宿主細菌相互作用を解明することを目的とした。 前年度までに、LILRファミリーと細菌の相互作用を解明するために、11種類のLILR-Fcタンパク質と様々な細菌との結合をフローサイトメトリーにより網羅的に解析したところ、いくつかのLILRがある種の細菌に結合することを見出した。細菌と相互作用を示すLILRの中には、アリル多様性が存在することがヨーロッパ系集団で報告されているが、アジア系集団におけるアリル多様性は明らかとなっていなかったため、日本人においても詳細にLILRのアリル多様性を解析した。その結果、非常に多くのアミノ酸置換を伴うアリルが日本人においても検出され、統計学的に有意性を示した。この結果は、LILR遺伝子に正の自然選択が働いている可能性を示唆する。次に、これら日本人において見出されたLILRアリルと細菌との相互作用を解析したところ、同じ抑制型LILRでもアリルによっては結合が非常に弱いなどアリル特異的に細菌を認識することが明らかとなった。以上の結果は、抑制化LILRを介した細菌の免疫逃避機構が存在する可能性を示唆し、個人によって細菌に対する感受性が異なる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LILRファミリーの中には極めて相同性が高く、識別が困難な遺伝子が存在しており、日本人におけるアリル多様性を明らかにするための条件検討に時間がかかったため。また、新型コロナによる影響で、研究活動が十分できなかった時期があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
宿主細菌相互作用を解析するために、細菌に発現するLILRリガンドの同定およびノックアウト細菌株の作製、LILRのアリル特異的なトランスジェニックマウスの作製により、細菌感染重症化メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(7 results)