2020 Fiscal Year Annual Research Report
Bacterial pathogen-mediated tiered regulations on the host ubiquitin system
Project/Area Number |
19H03469
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
久堀 智子 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20397657)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ユビキチン / エフェクター / レジオネラ / 細菌感染 / 脱ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、病原細菌レジオネラの持つ宿主ユビキチン操作に関わる複数のエフェクタータンパク質が「機能的階層構造」の上で実現する制御機構を解析し、感染の場で細菌が宿主ユビキチンシステムを巧妙に操作する分子機構を明らかにすることを目的とする。 初年度に配列解析技術を用いてユビキチン修飾に関わる可能性のあるレジオネラエフェクターの探索を行った結果、レジオネラ固有の E3 リガーゼとして機能する LpgX を同定した。今年度は、LpgX と機能的な相互作用を示す別のレジオネラエフェクターの探索を試みた。その結果、既知のレジオネラエフェクターの中で、LpgX に対して特殊な修飾を施す酵素活性を持つと考えられるエフェクターが複数見出された。さらに、この修飾は通常のユビキチン化とは全く異なる酵素活性に基づくユビキチン修飾であると考えられた。当該エフェクターは LpgX のみならず、LpgX と類似の機能ドメインを持つと予測されるレジオネラに固有な別の E3 リガーゼ LpgY に対しても同様のユビキチン修飾を施すことが示された。LpgY については宿主細胞内のターゲットが報告されているため、このターゲットに対するユビキチン化を解析できる実験系の確立を行った。今年度に得られた結果はレジオネラユビキチンリガーゼ群とそれらの活性を化学修飾により抑制し得るエフェクター群がネットワークを構築して複雑な制御系を作り上げていることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LpgXの感染における役割そのものの解析よりも、LpgX と機能的相互作用を示すエフェクターの解析が予定よりも順調に進んだため、こちらにウェイトを置いた研究を展開した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を受けて、LpgX あるいは LpgY が受ける化学修飾を特定し、これらに化学修飾を付与するエフェクターの機構に着目した解析を展開する。具体的には、 (1)LpgX あるいは lpgY を当該エフェクターとともに培養細胞に発現させ、エフェクターの活性依存的に起こる化学修飾を質量分析法で同定する。 (2)LpgX および LpgY が寄与する感染細胞内ユビキチン化において、当該エフェクターがどのような制御を行うのかを細胞内発現系、及び欠損変異株の感染実験と生化学実験を組み合わせて解析を行う。 (3)これらの結果を統合し、レジオネラによる宿主真核細胞のユビキチンシステム操作がエフェクター間の機能的相互作用による階層的な制御によるものであることを示す。
|