2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H03483
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤 新一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80611756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ILC3 / 抗体 / ストローマ細胞 / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクチンは人類を感染症の脅威から守る優れた医療戦略であるが、副作用がより少なく安心して使用できる次世代のワクチン開発が切望されている。 本研究では「アジュバントを使用しないワクチン」の実現可能性を視野に入れ、リンパ節濾胞樹状細胞(FDC)の機能増強に関わる細胞および分子レベルの新知見 の取得を目的とする。具体的には、(1)FDC分化経路、(2)FDC分化に関わる細胞ネットワーク、(3)FDC分化誘導因子の同定を目指す。 本年度はRANKLの時期特異的レポーターを樹立し、Marginal Reticular Cell (MRC)がFDCの前駆細胞になりうることを突き止めた。また、ILC3を時期特異的に除去可能な新規マウス系統の作出にも成功し、FDC分化におけるILC3の機能を解明する準備を整えることができた。さらに、FDCやMRCの前駆細胞となる胎児期のストローマ細胞の同定にも成功し、第31回日本生体防御学会学術集会および第58回日本生物物理学会年会において成果を口頭発表した。 一方、関節リウマチ骨破壊にはRANKLを発現する形質細胞が重要な役割を果たすこと(Komatsu, JCI, 2021)も明らかにした。さらに、東京大学との共同研究によって胸腺髄質においてT細胞の負の選択に関わる新規ストローマ細胞の同定に成功した(Nitta, Nat Immunol.,2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究推進の方向に大きな変化はないが、コロナ禍により出勤自粛やマウスコロニーの縮小を余儀なくされ、当初予定していたストローマ細胞の遺伝子発現解析が未実施となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でRANKLレポーターマウスを開発し、液性免疫の場を担うFDCの前駆細胞であるMRCの遺伝学的手法による蛍光標識、生体内における分化過程の追跡という重要な研究手法の確立に成功している。今後は、研究所に導入されたシングルセル遺伝子発現ライブラリー作成装置、Chromium(10xGenomics社)を駆使し、MRCからFDCへの分化過程における遺伝子発現プロファイルの変容をシングルセル レベルで解明する。また、FDC分化の鍵を握ると想定されるLTa1b2の供給細胞としてのILC3の役割について解析を進める
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