2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of LILRB4-mediated immune checkpoint
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19H03484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高井 俊行 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20187917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チェックポイント / がん免疫 / 自己免疫 / 制御受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞の免疫チェックポイント阻害抗体ががん免疫の増強に著効を示し世界的に注目されているが,同時に自己免疫のリスクが上がるため,がん免疫と自己免疫の双方をバランスよく調節できる技術の開発が希求される。2019年度は,T細胞/B細胞/ミエロイド系細胞の新しい免疫チェックポイントB4-B4L1ががん,自己免疫のモデル実験系でどのように機能しているのかについて解析した。CD8+ T細胞,ミエロイド由来サプレッサー細胞(MDSC),寛容誘導性樹状細胞(DCreg),Tregについて,これらのB4-B4L1システムがB4欠損によりどのような影響を受けるか,また,抗体等により阻害し抗がん免疫や自己免疫が受ける影響を調査した。Lewis lung carcinoma(LLC)およびB16F10 melanoma(B16F10)を接種された担がんマウスにB4抗体を投与,またはB4L1コア抗体の投与を複数回行い,2週目のCD8+ T細胞の活性状態をin vitroサイトカイン産生量の測定,表面マーカー分子のFCM解析で評価した。また,LLC,B16F10の腫瘍径,腫瘍内部の血管新生,他組織への転移状態などを病理組織学的,免疫化学的に測定して,抗がん免疫の賦活効果を評価した。自己免疫モデルにおいては,BXSBマウスへのB4抗体の投与により血中自己抗体価の増加が抑制される結果を既に得ているが,糸球体腎炎の重症度をHE染色,PAS染色などの手法で免疫組織化学的に評価し,B4+プラズマセル,MM系細胞の脾臓組織中のポピュレーション頻度の増減,活性化マーカーの変化をFCM解析により評価した。これらの成果をまとめて論文発表および特許申請を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞の免疫チェックポイントとは独立に機能する,B細胞,ミエロイド系(B/My)細胞にも備わる新しいチェックポイントを同定し,それを修飾することでがんと自己免疫の双方を一括して制御することは可能か?という命題の解決に向け,現在まで,計画どおり自己免疫関係の解析の成果を得て論文発表を行うとともに特許申請を行った。がん免疫への関与,そして自己免疫・がん免疫の一括制御に関しては現在,実験系を立ち上げて解析を進めており,一部は既に先の特許申請に盛り込んだが,今後も成果が得られることが期待されるため,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
担がんマウスモデル実験系でB4抗体,B4L1コア抗体の投与により治療効果を評価してB4-B4L1軸の免疫CPの治療標的としての有効性を明確化する。また,自己免疫モデルにおけるB4抗体,B4L1コア抗体の投与効果を引き続き調査する。この目的のために市販品でなくインハウスで開発したB4抗体,さらにこれまで解析した抗体のサブクラス変換体を作成してがん,自己免疫への効果を検討する。これに加えてB4-B4L1の結合物の三次元構造の解明に向け,準備を開始する。これらの成果が得られれば,B4阻害,B4L1阻害の効果を有する低分子化合物のシミュレーションやスクリーニングに進む計画である。また,B4以外のLILRBファミリー分子,とりわけLILRB1/B2のがん,自己免疫への関与も並行して調査することで総合的にLILRBファミリー分子が構成する免疫チェックポイントの理解を目指す。
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Research Products
(3 results)