2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Regulome controls adaptive lymphocyte development and DNA recombinase Rag1/Rag2 expression
Project/Area Number |
19H03487
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 正輝 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (80403632)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | T細胞分化 / B細胞分化 / 遺伝子再構成 / Rag1/Rag2遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫機構は、獲得免疫と自然免疫の協調作用として、様々な炎症反応を制御する。獲得免疫は、T細胞、B細胞が抗原を認識することにより特異的な反応が惹起される。獲得免疫と自然免疫の一番の違いは、遺伝子再構成により抗原特異的な受容体(T細胞受容体(TCR)、抗体分子(Ab))を形成することである。つまり、この二つの遺伝子再構成を司るRag1/Rag2の発現が、獲得免疫の始まりである。本研究課題では、このRag1/Rag2遺伝子の発現制御を解明することで、造血幹細胞から獲得免疫リンパ球への分化の成り立ちを明らかにし、獲得免疫成立の本体に迫ることを目的とする。 2019年度では、T細胞、B細胞における、Rag1/Rag2遺伝子座の制御領域を明らかにし、その領域のdeletion mutantマウスを作製、解析を進めた。その結果、驚いたことに、T細胞とB細胞では、それぞれ、細胞種特異的な制御領域(エンハンサー)を持ち、お互いに非依存的であることが判明した。つまり、T細胞特異的なエンハンサー欠損では、Rag1/Rag2遺伝子の発現欠損により、T細胞分化の顕著な障害を認める一方、B細胞分化には全く影響を及ぼさなかった。逆にB細胞特異的なエンハンサー欠損では、B細胞の分化障害を示す一方、T細胞分化は、全く正常であった。このことは、T,B細胞ともにRag1/Rag2による遺伝子再構成を必要とするが、その制御は異なるものであると言える。 現在、その制御領域の解明、責任転写因子の証明、そして、転写因子により遺伝子発現がどう制御されているのか、3Dゲノム構造変換の観点から、解明を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述のように、エンハンサー欠損マウスの解析は順調に進んでおり、さらに、そのエンハンサー機能についても、予想よりも早く進展が見られている。転写因子による3Dゲノム構造変換の解析についても、in situ Hi-Cの結果を得られており、非常に興味深い結果を得ている。以上のことから、当初の計画よりも、研究は早く進んでいると言え、さらなる発展が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は、転写因子による3Dゲノム構造がどのようにして行われるのか、その分子機構の解明する。特にCTCFやCohesinと言った、ゲノム構造のloopingを司る分子の貢献について、ChIP-seqなどを中心に解析を進めて行きたい。
|