2019 Fiscal Year Annual Research Report
がん進展に関わるVasohibin-2の構造と機能に関する研究
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19H03494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 靖史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50178779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康弘 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60332277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | VASH2 / アミノ酸変異体 / キメラ変異体 / VASH1 / 脱チロシン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
VASH2細胞外分泌メカニズムを解析するために、NanoLucルシフェラーゼを繋げた融合タンパクを発現するベクターを構築し、細胞外分泌能をルシフェラーゼ活性を指標にモニタリングかつ定量化可能な新たな測定系を確立した。この測定系を用いて解析したところ、158番目のシステインをアラニンに変換しαチューブリンの脱チロシン化活性を欠損したVASH2変異体(C158A)は、野生型VASH2と同様に培養上清中に強いルシフェラーゼ活性が検出されることから、脱チロシン化活性はVASH2の細胞外分泌には影響しないことを確認した。VASH2はVASH1と高いアミノ酸相同性を有るが、N末端に存在するDisorder領域のアミノ酸構成は大きく異なっており、互いの生理機能に違いをもたらす領域と想定される。そこで、N末端領域の機能を解析するためのツールとして、それぞれのDisorder領域であるVASH1(1-56)とVASH2(1-45)を入れ替えたキメラ変異体(VASH2ChNとVASH1ChN)をデザインし、その発現ベクターを構築した。Hela細胞にSVBPと共発現させたところ、VASH2ChNとVASH1ChNの細胞内局在に相違は認められず、共にαチューブリンの脱チロシン化を引き起こし 脱チロシン化の酵素活性は維持されていることを確認した。野生型VASH2或いは両キメラ変異体を発現するがん細胞株の作製に着手した。また、VASH2の分泌不全型変異体については、当初候補と考えていたものでは分泌不全の程度が軽度であったため、さらに複数の変異体を作成して検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VASH2の分泌不全型変異体について、当初候補と考えていたものでは分泌不全の程度が軽度であったため、その変異体を使うことは不適当と判断し、さらに複数の変異体を作成して検討することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた変異体をがん細胞に導入し、がん細胞のin vitroにおける増殖能、遊走能、浸潤能に与える影響を野生型VASH2と比較する。また、変異体導入膵がん細胞をマウスに移植し、腫瘍の発育、転移、血管新生、がん免疫の動態を、野生型VASH2導入がん細胞と比較する。また、VASH2分泌不全型変異体が作成され次第、同様にがん細胞に導入し、in vitroの実験系、マウス移植の実験系に投入して解析する。
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