2019 Fiscal Year Annual Research Report
DNA相同組換え修復機能を標的とした乳がんの新規合成致死療法の開発
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19H03497
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三木 義男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 成章 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70807677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合成致死療法 / DNA相同組換え修復機能 / 乳がん / BRCA1遺伝子 / BRCA2遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRCA変異陽性乳がんのPARP阻害剤による合成致死療法が開始されたが、PARP阻害剤耐性獲得が問題となっている。そこで、DNA2本鎖切断の相同組み換え修復機能(Homologous Recombination: HR)を抑制し、再度、PARP阻害剤に対し感受性にさせる耐性克服療法の開発を目的とする。PARP阻害剤の頻度の高い耐性獲得機序に、BRCA変異細胞における相同組換え修復機能の回復がある。そこで、HR経路で機能する分子を抑制して、再度、HR機能を低下させ、PARP阻害剤に対し感受性にさせる。この治療法は、耐性獲得症例のみならず、最初からHR機能が維持されPARP阻害剤は無効な多くの乳がんにも有効となる可能性があり、この相同組み換え修復機能を標的とした新規合成致死療法の開発は、がん治療に大きく貢献することが期待される。ここで、鍵となる課題は、HR修復能の阻害法開発である。本研究において、BRCA2はKPNA7との相互作用により核移行すること、また、KPNA7の阻害により、BRCA2の核移行及び核内のHR修復を阻止することを見出した。さらに、機能既知化合物ライブラリーを用いたKPNA7阻害化合物のスクリーニングにより、KPNA7阻害薬剤としてMG-1とMG-2(教室内仮称)を見出した。そこで、これら2種薬剤を基盤としたPARP阻害剤耐性克服療法の開発を目的に、次の計画を立て、現在、遂行中である。 ①BRCA機能正常がん細胞に対する2種薬剤とPARP阻害剤併用による合成致死誘導の検証、2薬剤のKPNA7・BRCA2核移行阻害メカニズムの解明、 ②構築したKPNA7阻害化合物スクリーニング系による機能未知低分子化合物ライブラリーのスクリーニング、ヒット化合物の機能的検証と化合物データベース等を利用した機能情報解析、等を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開発では、BRCA機能不全を伴うPARP阻害剤感受性例において、HR機能回復により耐性を獲得したがん細胞を、HR経路上で機能する分子を阻害して再度、HR機能不全に変換、感受性を回復させた後、PARP阻害剤で治療するという耐性克服戦略を目指す。ここで、鍵となる課題は、HR経路上で機能する分子を阻害する方法の開発である。これに対し、BRCA2の核局在シグナル(Nuclear Localization Signal: NLS)・核外移行シグナル(Nuclear Export Signal: NEL)に関するこれまでの我々の研究成果から、本研究において、BRCA2は核輸送蛋白であるKPNA7によって核移行することを見出し、KPNA7を阻害しBRCA2の核移行を阻止することで、核内のBRCA2修復能を阻む全く新しいアプローチを考案した。KPNA7の発現は、正常ヒト成人組織では極めて低く、すい臓がんや乳がん、卵巣がん等のがん細胞では中-高度発現が報告されている。これは、KPNA7阻害は正常組織への影響が少なく、副作用も軽微である可能性を示している。次いで、siRNAによりKPNA7をノックダウンさせたBRCA正常乳がん細胞株に対して、PARP阻害剤は合成致死性効果を誘導することを確認した。そこで、KPNA7を阻害する低分子化合物のスクリーニング系を構築し、KPNA7を阻害する低分子化合物のスクリーニングを実施した結果、BRCA機能正常細胞に対しKPNA7の核内局在を阻害する化合物として、2種低分子化合物を検出した。次に、BRCA機能正常細胞に対するこれらの化合物とPARP阻害剤併用による合成致死誘導効果を解析し、in vitro 実験で誘導効果を示す結果を得ている。このような状況から、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画では、①これら2種ヒット化合物について、PARP阻害剤併用による合成致死誘導効果を、がん細胞移植マウスを用いたin vivo 実験系で検証、及びPARP阻害剤の感受性誘導薬剤としての使用(ドラッグ・リポジショニング)を検討する。同時に、BRCA2の核内輸送機構及び2種化合物の阻害作用機序を詳細に解明し、更に効率的で精度の高いBRCA2核内輸送因子(群)の阻害法の開発を目指す。②本学が所有する機能未知低分子化合物(約10,000種)ライブラリーを使用して、構築した系によりさらにKPNA7阻害化合物をスクリーニングする。また、①で新たに見出されるBRCA2核内輸送因子を標的とした阻害化合物のスクリーニング系を構築、実行する。 これらの結果、ヒット化合物の化合物データベース情報や実験で収集した機能情報を統合し、BRCA2の核内輸送機構及びその阻害作用機序を詳細に理解して、最も効率的で精度の高いBRCA2核内輸送の阻害法を開発、それを応用したPARP阻害剤耐性の克服療法創製に向けた研究計画を遂行する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Identification of two novel breast cancer loci through large-scale genome-wide association study in the Japanese population.2019
Author(s)
Low SK, Chin YM, Ito H, Matsuo K, Tanikawa C, Matsuda K, Saito H, Sakurai-Yageta M, Nakaya N, Shimizu A, Nishizuka SS, Yamaji T, Sawada N, Iwasaki M, Tsugane S, Takezaki T, Suzuki S, Naito M, Wakai K, Kamatani Y, Momozawa Y, Murakami Y, Inazawa J, Nakamura Y, Kubo M, Katagiri T, Miki Y.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 9
Pages: 17332
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Non-V600E BRAF mutations and EGFR signaling pathway in colorectal cancer.2019
Author(s)
Osumi H, Shinozaki E, Wakatsuki T, Suenaga M, Ichimura T, Ogura M, Takahari D, Ooki A, Suzuki T, Ota Y, Nakayama I, Chin K, Miki Y, Yamaguchi K.
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Journal Title
Int J Cancer.
Volume: 145
Pages: 2488-2495
DOI
Peer Reviewed
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