2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel immunothrombosis on premetastatic niche formation
Project/Area Number |
19H03506
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
丸 義朗 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00251447)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 転移前微小環境 / 血管透過性 / 血液凝固 / TLR4 / S100A8 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんによる死因の主な原因は遠隔臓器への転移であるが、今のところ転移性がんに対する有効な治療法が存在せず、転移性がんに対する治療法の確立は急務と考えられる。免疫学的血栓形成機構における凝固関連因子やその分解産物が自然免疫に関与する様式は、抗微生物活性や微生物殺傷能力を持つ白血球の動員に関与する炎症促進活性であるが、転移前微小環境においてはこれがどのような要素であるかは不明である。転移前微小環境形成における免疫学的血栓形成の意義を明らかにするため、当該年度では、血管透過性亢進に関わる分子の細胞内応答の解析と阻害薬の開発を行い、下記1.~3.の研究成果を得た。 1.血管透過性に関わるS100A8の阻害ペプチドの開発:これまでにS100A8はがん微小環境形成に関与することを見出しており、当該年度内にS100A8機能を抑制する特殊ペプチドを同定した。 2.Ephrin-A1 タンパク質のADAM12による切断面の同定:分泌型ephrin-A1が血管透過性の亢進や肺転移に関わることを今までに見出しており、当該年度内にADAM12よって切断されるephrin-A1の切断面を特定した。 3. 骨髄マクロファージ培養系におけるS100A8及びSAA3の分泌解析:マウスより骨髄細胞を採取し、M-CSFにより分化させた骨髄マクロファージ培養系において、LPSとNigericinの段階的処理により細胞死パイロトーシスを誘導すると、NLRP3インフラマソームを介したカスパーゼ-1の活性化によりGasdermin Dが分解され、細胞膜上でのpore形成が起こり、培養上清中に活性型IL-1βが放出されると共にS100A8とSAA3の分泌も亢進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S100A8コンディショナルマウスの樹立、S100A8阻害薬を単離することに成功し、次年度に担がんマウスを用いて解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
転移成立後におけるフィブリンの発現を解析するため、担がんマウスの肺転移を有する肺を採取し、免疫組織学的染色により血管透過性亢進領域と非亢進領域の間でフィブリノーゲンや他の凝固関連因子の発現を解析する。また、S100A8は、急性呼吸窮迫症候群に関与することが示唆されており、今後はがん病態にとどまらず、モデルマウスを用いて血管透過性亢進と血栓形成の関与も並行して解析を進める。 さらに、マウス骨髄マクロファージ培養系にNLRP3阻害薬やカスパーゼ-1阻害薬を添加し、パイロトーシス誘導性のS100A8及びSAA3の分泌が抑制されるか否かを調べる。また、担がんマウスを作成し、転移前の肺や骨髄においてパイロトーシスとそれに伴う、S100A8及びSAA3の分泌亢進が認められるか否かを調べる。
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Research Products
(3 results)