2019 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法における窒化ホウ素粒子の細胞内分布と治療効果の検証
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19H03513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 磨聖 大阪大学, 核物理研究センター, 特任講師(常勤) (20747109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 直史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90648932)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素中性子補足療法 / 窒化ホウ素ナノ粒子 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の基礎研究として、窒化ホウ素ナノ粒子を基に多様な条件を設定し、ホウ素の細胞内分布と治療効果の関連を検証する。当該年度の主な目的は、細胞内分布に多様性をもたらす、窒化ホウ素ナノ粒子のコーティング条件の検討である。 一般的に、BNCTは細胞核にホウ素化合物が集積すると治療効果が出やすい。そのため、大きく細胞核、細胞質、細胞膜と3箇所の分布条件を目指している。分布条件のうち、細胞核用の窒化ホウ素ナノ粒子は、ポリエチレンイミンコーティングにより試みた。細胞核への局在は確認できたが、細胞質と細胞核の間での局在のコントラストは低い状態であった。細胞膜と細胞質への局在についてはコントラストが得られている。中性子照射実験については、中性子発生装置の都合により、当該年度内での実施はしていない。 一方で、MRI撮像が可能な窒化ホウ素ナノ粒子として、マグネタイトコーティング窒化ホウ素ナノ粒子も合成した。ファントムによるMRI撮像が得られるナノ粒子の濃度をホウ素濃度に換算すると、BNCT効果が得られる25ppm以上となった。本結果は、マグネタイトコーティング窒化ホウ素ナノ粒子でMRI撮像が得られる場合、BNCT効果が得られる可能性が高いことを示唆する。このマグネタイトコーティング窒化ホウ素ナノ粒子に関しては、治療と診断を同時に行うセラノスティクス用のマテリアルとしての開発が期待できる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内分布に多様性をもたせる窒化ホウ素ナノ粒子の合成条件については、一部達成できておらず、やや遅れている。しかし、MRI撮像用の窒化ホウ素ナノ粒子については、計画通りの実験経過となっている。総合して、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、中性子照射実験・動物実験と、実験計画通りに実施する。細胞核への集積性に改善点が残されているため、別な試薬によるコーティングの検討も並行して進めていく。
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