2019 Fiscal Year Annual Research Report
臨床検体から同定したピロリ菌ゲノム異常の時空間的な解明に基づく胃癌の革新的制御
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19H03521
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 博幸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40332910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 文生 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90223180)
松尾 康正 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70724756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | H. pylori / ゲノム解析 / ゲノム多様性 / 胃洗浄廃液 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の全人口の半数以上がピロリ菌に感染していると推定される。胃癌の98%はピロリ菌関連であり、ピロリ菌感染の制御が胃癌の撲滅につながる。現状の除菌だけでは、異時性胃癌の発生を完全に予防できず、ピロリ菌ゲノムに注目した胃発癌リスクのバイオマーカーの重要性が再認識され、研究開発に対する社会的要請は高い。研究代表者らは、ピロリ菌の胃内空間的不均一性という課題を内視鏡胃洗浄廃液という面診断で克服し(日欧特許取得)、ヒトゲノム解析を行ってきた。 本研究では、ピロリ菌ゲノムに注目し、時空間的にロングリード次世代シーケンサーを用いたゲノム解析を行うとともに機能解析を行い、ゲノムの多様性の理解に基づく胃発癌の新機軸を明らかにすることを目的とした。さらに、胃癌の本質的な基礎医学的分子病態の解明とともに診断から除菌治療までの迅速遺伝子判定システムなどの臨床応用開発を目指した。 ロングリード次世代シーケンサーを用いて、ピロリ菌遺伝子異常をゲノムワイドに解析することに成功した。また、パイロシーケンスを用いてピロリ菌遺伝子の変異型と野生型の比などを定量解析する系を確立した。さらに、CagA、VacA、BabA、OipA等のピロリ菌遺伝子も同様に定量解析する系の確立に成功した。 胃癌の本質的な基礎医学的分子病態の解明とともに、診断から除菌治療までの迅速遺伝子判定システムなどの臨床応用開発につながる成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の想定に反し、ピロリ菌ゲノムの多様性により、それに対応したNGS解析の複雑性が判明した。研究遂行上、ゲノムキャプチャーに必要なbaitの設計、検証に基づくNGS解析が不可欠なため、NGS解析およびパイロシーケンス解析の至適化を延長して実施する必要性が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌の本質的な基礎医学的分子病態の解明とともに診断から除菌治療までの迅速遺伝子判定システムなどの臨床応用開発を目指し、研究を推し進めていく。また、各研究項目の連携を強化し、研究全体の遂行、目的の達成に向け邁進する。
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