2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the drug persistent cells to understand the acquired resistance mechanisms in lung cancer
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19H03524
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
片山 量平 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 基礎研究部, 部長 (60435542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / 治療残存細胞 / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
進行肺がんの予後は約20年前までは非常に短く1年程度しかなかったが、近年の分子標的薬やがん免疫療法などを含む各種薬物療法の目覚ましい進歩により、著しい改善がみられてきたが、獲得耐性の出現が大きな問題である。研究代表者はこれまでに分子標的薬耐性機構を培養細胞と患者検体を駆使して解析し、ALKやROS1などの融合遺伝子陽性肺がんやEGFR変異肺がんで多くの耐性機構の発見とその克服法の同定に貢献してきたが、更なる耐性の出現により未だ完治は難しいのが現状である。本研究では、いつ、どのように、耐性は生じていき、なぜ現状獲得耐性が避けられないのかを、治療薬奏功後にわずかに残る治療残存細胞(Persistent細胞)の性状を明らかにし、新規治療標的となる分子(パスウェイ)と新規治療法を同定し、「耐性を生じなく(生じにくく)する新しい治療法の発見」を目指し、本研究を開始した。 2020年度は2019年度から継続して取り組んでいる培養細胞モデル系、担がんマウスモデル系、再発症例由来培養細胞株のモデル系の作製について、耐性細胞株を新たに樹立するとともに、治療抵抗性機構の解析と、治療残存細胞の解析、治療抵抗性克服法の探索等を行った。 主たる成果の中で論文として発表した一部を次に概説する。ALK融合遺伝子は肺がんの約3%に見つかり、5種類のALK阻害薬が承認されているが、2つ以上の変異がALK遺伝子に重複することで高度耐性となり、あらゆるALK阻害薬が無効となる。この耐性重複変異に対し、白血病治療薬として承認されているGilteritinibが有効であることを見出し、論文として発表した。これらの研究の過程で、樹立した患者由来培養細胞株を用いて、治療残存細胞の存在を確認することに成功し、それらの一部からさらに耐性が生じることを確認し、現在治療残存細胞の1細胞レベルでの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種低頻度Driver Oncogene変異を有する肺がんについても、所属機関が擁するがん研有明病院で治療を受けている患者さんの中で、IRBで承認された臨床研究への参加について同意を頂いた患者検体(胸水、生検など)から細胞株を樹立することにとりくみ、引き続き複数成功しており、現在も樹立中の細胞株も有している。 また、患者由来細胞株を用いて、in vitro実験系において治療残存細胞の存在を確認し、解析することが進んでおり、複数のモデルでカギとなる因子の同定にもつながるなど、順調に進んでいる。また、in vivoゼノグラフトモデルで投薬を続けることにより治療残存細胞の存在が確認でき、それらから耐性腫瘍を作成することにも成功しており、引き続き解析を進めている。 EGFR変異陽性がんのなかで低頻度に見つかる「マイナー変異」が、標準治療として使用されている一部のEGFR阻害薬に抵抗性を示す構造的なメカニズムを解明し、その変異体に特異的な薬剤を発見し報告するなど、複数の論文発表に繋がっており、この点については予定以上の研究進捗といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、やや予定以上の研究の進展が見られたため、引き続き下記の様に予定通り研究を進展させるとともに、予想以上の進捗のあったALK融合遺伝子陽性がんやEGFR陽性肺がん研究については、新たに発見した新規治療薬候補も用いて、残存腫瘍の解析とそこから耐性細胞が出現してくるメカニズムについて解析を新たに追加して進める。本年度は昨年度に引き続き、培養細胞モデル系、担がんマウスモデル系、再発症例由来培養細胞株のモデル系などで耐性細胞株を引き続き樹立するとともに、これまでに樹立された各種臨床検体由来細胞株を用いて、以下のようにして解析を継続して進める。 (a) 株化に成功したものから順次治療抵抗性機構の解析を実施。(b) 新学術領域「先端モデル動物支援プラットフォーム」の約400からなる阻害薬ライブラリーを用いた単剤及び併用薬スクリーニング等により、薬剤感受性プロファイル取得。(c) 抵抗性のメカニズムが解明できたものについては、耐性機構の検証を実施し、in vivoでの治療実験も患者由来細胞株のゼノグラフトモデルでの検証を行う。(d) 上記の解析でもなお薬剤抵抗性が不明な症例については、ノックダウン/ノックアウトスクリーニング等を用いる。 上記(a)~(d)の検討で得られる治療残存腫瘍を回収し、(e)の解析を実施 (e) in vitro, in vivoの検討で得た残存細胞の遺伝子発現とATAC-seq等によりクロマチン状態等を網羅的に解析し、感受性細胞と残存腫瘍細胞を比較解析する。また、治療残存細胞の性質維持に関連する遺伝子のノックアウトや過剰発現による解析、その標的に対する阻害剤が使用可能である場合には併用療法の探索や間欠的投与による残存腫瘍の除去を目指した新規治療戦略、耐性細胞出現を回避するための治療戦略、耐性の出現を遅らせることのできる治療戦略を探索する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Gilteritinib overcomes lorlatinib resistance in ALK-rearranged cancer2021
Author(s)
Mizuta Hayato、Okada Koutaroh、Araki Mitsugu、Adachi Jun、Takemoto Ai、Kutkowska Justyna、Maruyama Kohei、Friboulet Luc、Katayama Kazuhiro、Ma Biao、Sasakura Yoko、Sagae Yukari、Kukimoto-Niino Mutsuko、Shirouzu Mikako、Takagi Satoshi、Simizu Siro、Nishio Makoto、Okuno Yasushi、Fujita Naoya、Katayama Ryohei, et al
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 1261
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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