2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a methodology to control brain functions using X-ray
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19H03533
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 貴之 名古屋大学, 環境医学研究所, 客員教授 (40466321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 健之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20517669)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / マウス / X線 / ドーパミン / オプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
自由行動中の動物において深部脳細胞を効率よく体外から遠隔操作することは未だ困難であり、新しい手法の開発が待たれている。我々は生体組織を透過するX線を可視光へと変換する発光素材である無機シンチレータを用いた神経活動の遠隔操作技術を独自に開発してきた。本手法に利用できるシンチレータは、可視光波長を持ち、生体毒性がなく、発光効率が高い必要がある。我々はそのような性質を持つ黄色発光シンチレータCe:GAGGを用いて、Ce:GAGG発光により効率よく開口する光感受性イオンチャネルをスクリーニングにより同定した。さらに、シンチレータ棒状結晶を脳内に埋め込んだ生体マウスにおいてX線照射による脳深部機能操作と行動変化の誘導に成功した。その後、生体に埋め込む結晶を粒子化し、手法の組織侵襲性を大幅に軽減することに成功した。本手法(「X線光遺伝学」と命名した)は、実験動物へのX線照射を伴うため、仮にX線量が過度となれば、実験中に動物に放射線障害を引き起こす可能性がある。そこで、放射線感受性の高い海馬未成熟神経細胞や骨髄細胞へのX線照射の影響を調べ、X線光遺伝学を行うための安全な累積線量を調べた。その結果、累積線量が1Gy以内であれば、これら細胞の数を減少させることなく、安全に行動実験が行えることが分かった。また、これまでは本手法の適用を中脳ドーパミン神経に限ってきたが、新たに中隔帯神経にも適用可能であることを示した。以上の結果は論文として投稿し、査読中である。また、上記の研究中に新たに開発・報告されたシンチレータ素材の中に、Ce:GAGGを凌駕する発光効率を持つ物質があることから、これらの利用の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シンチレータ粒子による発光は強度が低く、それによりオプシンを活性化することは難しいと当初考えられたものの、新たに発見されたChRmineをいち早く取り入れることで、シンチレータ粒子による神経操作が可能となった。また、使用しているX線照射装置は小型であり、自作の鉛板プロペラと行動実験が両立するかは不透明であったが試行錯誤により成功した。以上のように非常に挑戦的な課題を順調に完了できたため、新たな利用素材の検討を始めることができていることから、計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの結果をまとめた論文(投稿中)を出版することが本研究の目標であるため、これをいち早く終わらせる。また、X線光遺伝学に利用できるシンチレータ素材のレパートリーを広げるべく、様々な新規素材の検討を中脳ドーパミン神経をモデルとして行う。具体的には、cFos発現と場所嗜好性試験結果をリードアウトとして実効性をテストする。青色発光シンチレータの実効性が証明されれば、ステップファンクションオプシンを用いて、臨床におけるレントゲン撮影レベルの被ばく量で長期的に新家活動を操作する手法やゲノム編集ツールなど他分野における光操作ツールへの本手法の適用を試みる。
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Research Products
(4 results)