2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of neural transitory dynamics behind cognitive rigidity in autism and intervention with dynamic brain stimulation methods
Project/Area Number |
19H03535
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 喬光 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 准教授 (10710767)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 認知の硬直性 / 自閉スペクトラム症 / 磁気刺激 / データ駆動型解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脳活動状態をリアルタイムに同定し、それに基づいた脳刺激をすることでヒトの認知的柔軟性に関わる因果論的神経基盤を同定することである。さらにはその手法を高機能自閉スペクトラム症当事者に適用することで、彼らの認知的硬直性を生み出している神経動態を明らかにし、そこに非侵襲的に介入する手法の基盤を開発することにある。 2019年度はその準備として、脳活動依存型の脳刺激装置の開発及びその性能の検証を行った。まず、脳活動をほぼリアルタイムに解析・同定するための要素技術として、エネルギーランドスケープ解析の拡張を行った。そのfeasibility testはHuman Connectome Projectのデータを用いて行った。この拡張型エネルギーランドスケープ解析によってより正確に高速に、脳神経活動の遷移パターンを推定することが可能になった。 さらに、実際の脳活動依存型神経刺激装置の性能を調べるために、structure from motion刺激を用いて視覚意識の柔軟性を定量化する心理物理実験(test of bistable perception)を行った。これにより、この新規に開発した装置がある程度短い時間で脳活動を同定し、少ないタイムラグで神経刺激を加えることができることが確認された。 この実験ではさらに、複数の前頭前野領域をそれぞれある決まった脳神経活動パターンが観察されたときに刺激することで、視覚意識の柔軟性を向上させたり、低下させたりできることも示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳活動依存型神経刺激装置の精度は、神経活動の記録上はノイズがまだ散見されていたが、行動実験で有意な反応を得るほどの水準を達成することはできた。また解析上の準備は十分に進めることができた。全体としては概ね順調と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず脳活動依存型神経刺激装置の神経活動入力データの質の向上を目指す。そのために物理的なノイズ除去に加えて、解析上での更なるノイズ除去を行う予定である。具体的には、脳波信号出力及び入力装置の電気回路上の改良をまず行う。同時により高速なコンピュータを用いて、より精度の高いノイズ除去をリアルタイムに行えるアルゴリズムを実装する。これらを完成させたのちに、精度を検証する予備実験を行い、その後、本実験に移行する。これらと並行して視覚意識の柔軟性試験を用いた実験の結果について、解析等を追加し、論文としてまとめることを進める。
|