2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ex vivo optical imaging of human brain tissues for visualization of epileptogenic networks.
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19H03542
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北浦 弘樹 新潟大学, 脳研究所, 特任准教授 (80401769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
才津 浩智 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40402838)
清水 宏 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40608767)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / イメージング / ex vivo / 病態生理学 / 神経病理学 / 電気生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんは様々な病理学的基盤を背景に発作焦点が形成される。内側側頭葉てんかんは比較的均一な病態とされているため、そのてんかん原性について、生理学的・病理学的両面からメカニズムの検討を進めてきた。本研究ではそれらの経験を基盤として、より多様な要因から形成される新皮質てんかんの病態メカニズムについて検討を進めた。 新皮質てんかんの病理学的背景として、限局性皮質異形成(FCD)2例、結節性硬化症2例(TSC)、腫瘍関連てんかん(LEAT)1例において検討を進めた。手術検体より生鮮脳スライス標本を作成してincubateを行い、フラビン蛍光イメージング法およびカルシウムイメージング法を用いて異常興奮活動を捕捉した。 その結果、それぞれの病態カテゴリに応じて全く異なった興奮動態が存在していることが明らかとなった。すなわち、FCDでは病理学的に異常所見を呈する部位と一致した領域より激しい自発発火を認め、また同領域で惹起された興奮は長期にわたって自律的に遷延するという所見を得ることができた。また、TSCでは結節周囲より自発的な興奮を認め、それらが結節内に侵入することで、より大きなてんかん波に増幅される様子が明らかとなった。一方、LEATでは自発的な発火は焦点組織内から確認し得なかったものの、惹起された興奮は非常に速やかに、かつ広範に皮質内を伝播していく様子が明らかとなった。 現在、これら異常興奮活動が得られたそれぞれの部位よりサンプリングした凍結組織標本を用いて、RNAを抽出し遺伝子発現解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フラビン蛍光イメージングによる異常神経活動のスクリーニングは、多様な病態における異常神経活動部位の同定に極めて有用であることが分かった。一方、ミクロレベルでのシングルセルイメージングについては、ヒト組織ではマウス脳組織とは相当に異なった各種パラメーター設定が必要であることが判明し、現段階で有効なデータを得るには至っていない。現在、ヒト脳組織に特化したシングルセルイメージングの条件設定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究実施により、同じ新皮質てんかんにおいても、基盤となる病理学的要因によって異なるてんかん興奮動態が存在することが明らかとなった。すなわち、てんかん神経活動の"Generator"としての機能が前面に出ている焦点組織(FCD, TSC)と、興奮を周囲領域へ拡散する"Spreader"としての機能が特徴である焦点組織(LEAT)に分けられる可能性が示唆された。さらに、FCDとTSCは病変部位の病理学的特徴はよく類似しているものの、実験で得られた興奮活動様式は全く異なっていた。 今後は脳スライス実験において同定された過剰興奮部位とそうでない部位のそれぞれよりサンプリングした凍結組織標本を用いて、これら機能的異常を裏付ける分子メカメカニズムの解析を進める予定である。すでに凍結組織標本は分担研究者の元に送付されており、RNAの抽出と遺伝子発現解析を進めていく予定である。また、イメージング実験についても引き続き実験を展開していく予定である。
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Research Products
(9 results)