2020 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体不活性化がMICPCH症候群の脳機能障害を起こす神経回路メカニズムの解明
Project/Area Number |
19H03544
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 琢磨 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70545798)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | CASK / MICPCH症候群 / X染色体不活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
MICPCH症候群のモデルマウスであるCASK floxマウスは、loxPの配列の一つが、CASKの5’-UTR内に存在し、これが正常なCASKの発現を妨げ、CASK floxのホモ接合体では、ハイポモルフとなり、野生型マウスと比較して成長が悪く、交配の効率もよくない。このため、新たなCASK floxマウスの作成を行った。loxPをCASKの第2コーディングエクソンを挟む形で挿入する設計にし、CRISPR/Cas9システムによる受精卵でのloxPのノックインを2世代で行うことで作成した。作成後、マウスの尾からゲノムDNAを抽出し、loxPを挟む形でPCRをかけ、PCR産物をsequenceすることで、loxPが正しく挿入されていることを確認した。新しく作成したCASK floxマウスは、ホモ接合体でも野生型と同程度の成長を示し、loxPの挿入によるCASK遺伝子の発現不全は見られなかった。生後20日目の新規作成CASK floxホモマウスの内側前頭前皮質にCre組換え酵素発現アデノ随伴ウィルス(AAV)を導入し、行動実験を開始した。同時に、DeepLabCutとSimBAを使い、自動でsocial interactionなどの社会行動をdetectできるシステムの構築も行った。一方、従来のCASK floxマウスも、培養系では特段異常なく研究に用いられることを確認した。従来のCASK floxホモマウスの小脳から分散顆粒細胞培養を作成し、野生型のものと遜色なく生存することを確認した。レンチウィルスを用いてCASK floxホモの小脳顆粒細胞培養にCre組換え酵素を導入しCASKノックアウトにすると、時間経過とともに顆粒細胞が死滅することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究により、新規のマウスを作成することができたことに加え、本研究をもとにして論文を発表することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で新規に作成したCASK floxマウスを用いて、行動実験を行う。Cre発現アデノ随伴ウィルスをCASK floxマウスの内側前頭前皮質に導入し、内側前頭前皮質特異的CASKノックアウトマウスを作成し、社会行動実験を行っているが、これについて、さらに解析を進めて行く。DeepLabCutやSimBAなど、AI技術を用いた行動解析にもより力を入れていく。CASK floxマウスから小脳顆粒細胞培養を作成し、レンチウィルスを用いてCre組換え酵素を導入して培養系でCASKノックアウトを作成し、小脳顆粒細胞死が起こるメカニズムについて、分子レベルで解析を行っていく。
|
Research Products
(7 results)