2020 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝環境要因と炎症による回路異常に起因する精神疾患へのディメンショナルアプローチ
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19H03547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 武 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (90615717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 元 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (60723278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神疾患 / 社会性ストレス / 脳内炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遺伝や環境要因で脳内に脆弱性があると考えられるマウスを用いて、思春期で最も大きなストレスの社会性ストレスによって引き起こされるであろう脳内炎症が、これら脆弱性を持つマウスの脳での脳機能ネットワークの発達成熟の過程にどのような影響を及ぼして、特異的な行動変化につながるのかを明らかにすることを目的とする。 今年度は、昨年度条件設定を行って確立した母体炎症モデルに思春期に社会的敗北を加えた2ヒットモデルマウスのさらなる解析をすすめた。8種類の行動実験を行い、2ヒットモデルでは様々な行動ドメインに異常が見られる事、また2ヒットにより行動異常がさらに重篤になる事が明らかになった。さらに、大脳の神経細胞の電気生理学的解析から錐体細胞の興奮性が低下している事も明らかにした。これらに免疫細胞が関わっているかを明らかにするため、様々な脳領域の組織学的解析を行い、前頭前野を含む様々な脳領域にミクログリアなどの炎症細胞が浸潤している事が明らかとなった。また、脳活動MRIの解析から脳機能の変化が見られ、現在変化の見られる脳領域と行動との関係を解析中である。 昨年度から解析をすすめていた遺伝要因で脳に脆弱性を持つマウスモデルであるシャンク3改変マウスモデルでは社会性孤立を用いた社会性ストレスにより行動異常が顕著になる傾向が見られなかった。組織学的解析で炎症細胞の関与は示唆されたが行動異常との関連が明らかではなく、さらに解析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝的要因によるマウスモデルについては行動解析の結果、2ヒットで行動表現型の増加が見られなかったので、母体炎症のモデルにフォーカスを絞る事にしたが、共同研究者の電気生理学的解析、脳機能解析が進み、脳内の変化、異常領域によりフォーカスを絞って解析をすすめる事ができ、今年度は介入による行動表現型の回復実験を試みる事が可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
行動表現型からその行動に関わると予想される脳領域と、機能的解析から変化が見られる脳領域、免疫細胞の浸潤の見られる脳領域を相関させ、それらの共通する脳領域での炎症細胞を様々な手法で調節することにより、行動表現型が回復するかどうかを明らかにする。さらに、どういった炎症細胞が重要なのかを細胞特異的に操作することにより明らかにすることを目指す。
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[Journal Article] From population to neuron: exploring common mediators for metabolic problems and major mental illness2021
Author(s)
Yoichiro Takayanagi, Koko Ishizuka, Thomas M. Laursen, Hiroshi Yukitake, Kun Yang, Nicola G. Cascella, Shuhei Ueda, Akiko Sumitomo, Zui Narita, Yasue Horiuchi,, Minae Niwa, Akiko Taguchi, Morris F. White, William W. Eaton, Preben B. Mortensen, Takeshi Sakurai, Akira Sawa.
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Journal Title
Molecular Psychiatry
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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