2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外RNAの特性を活用した神経障害性疼痛に対する次世代治療戦略の探索
Project/Area Number |
19H03552
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 講師 (30386156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 文仁 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20360175)
山田 岳史 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50307948)
丸山 基世 日本医科大学, 医学部, 助教 (60709757)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / マイクロRNA / 細胞外小胞 / 一次感覚神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害を伴う慢性疼痛は難治性で苦痛が強いため、積極的に治療することが重要である。末梢神経障害の進行や疼痛の難治化においては、障害された神経細胞から末梢の免疫細胞や脊髄後角の神経細胞・グリア細胞への情報伝達が重要となる。細胞外RNAは受動的に細胞から放出されたゴミとして細胞外に存在するのではなく、少なくとも一部のRNAは膜性の小胞に包まれるなどして能動的に放出され、近傍の細胞に取り込まれて機能することで細胞間情報伝達を仲介している。従って、本年度はiPS細胞から分化誘導した一次感覚神経や神経障害性疼痛モデル動物から作製した一次感覚神経初代培養細胞から放出される細胞外小胞を検討してきた。まず、細胞外小胞に含有されるRNAおよびタンパク質を解析するのに適切な、培養上清中に放出される細胞外小胞の回収方法を複数検討し、含有されるRNAやタンパク質の質や量に関する評価を行った。これらの方法を用いて、神経障害により一次感覚神経から放出される細胞外小胞を回収し、発現が変化するマイクロRNAやタンパク質の探索を定量的PCRやELISA、western blottingなどの方法により行った。さらに、これらの分子の発現をモデル動物やヒト患者のサンプルにおいて検討した。これらの検討を通して、一次感覚神経から放出される多くの細胞外RNAを同定し、さらに神経障害により放出が変化する分子を複数同定した。これらの細胞外RNAは神経障害性疼痛における鎮痛標的もしくはバイオマーカーとして疼痛治療に活用できる可能性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次感覚神経から放出される細胞外小胞の評価法を確立し、神経障害に伴い放出が変化するRNAを各種サンプルにおいて複数同定していることから計画は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外に放出されるRNAやその性質をさらに幅広く探索するとともに、その機能的意義を検討していくことでことで、細胞外RNAを活用した新たな神経障害性疼痛治療への応用可能性を探求していく。
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Research Products
(14 results)