2019 Fiscal Year Annual Research Report
Integration of systemic regulation toward neuronal regeneration
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19H03554
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
村松 里衣子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 部長 (90536880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / グリア細胞 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症や外傷などで脳や脊髄が傷つくと、様々な症状があらわれる。症状があらわれる原因のひとつに、脳や脊髄の機能を担う神経回路の損傷があり、傷ついた神経回路を修復させることができれば症状も回復が見込めると期待されている。個体発生の時期の神経系や末梢神経系と比較し、成体の脳の神経回路は修復しにくく、従来から、成体の中枢神経系の内部環境が修復に不適切であることと解明されており、特に脳や脊髄内の神経系細胞の役割解明が中心であった。一方、研究代表者はこれまでに、中枢神経障害後に患部では血管も傷ついている点に着目し、血管傷害にともなう血液の脳実質への漏出が、神経回路の再生に影響を与える可能性について検討してきた。すでにこれまでに血液が白質を構成している髄鞘の修復を制御することを報告しているが、髄鞘の修復は神経回路の一連の修復過程の一部であるため、神経回路の修復の各ステップに対して血中成分がいかに影響をあたえるか検討している。今年度は、血液を暴露することにより応答性が変化する脳内細胞の探索を目的として、種々の細胞培養系に対して血液を暴露し、各応答性を解析する実験を行った。その結果、血液の漏出によって損傷後に形成する瘢痕形成に影響を与える可能性を得た。瘢痕形成に関わる細胞種は複数あるが、各細胞に対する血液の作用を解析するために、in vitroでの評価系の構築を行い、瘢痕形成制御の細胞内情報伝達機構解明のためのスクリーニング実験を一部実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた計画はすべて完了し、当初は解析対象としていない細胞に対する作用解析も実施し、その細胞における生理活性を見つけることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに構築したin vitroの評価系を用いて、血液による瘢痕形成制御の分子メカニズムを解析する。まず、瘢痕形成に関わる受容体を探索するために、候補細胞に選択的に高発現する遺伝子をRNAseqの情報より抽出し、その遺伝子を対象として、組換えアデノ随伴ウイルスを用いるゲノム編集システムを用いたゲノム編集へ候補細胞に施す。同細胞に血液を暴露させた際の応答性をコントロール群と比較することで、受け手側の細胞における細胞内情報伝達機構の一端を解明する。ヒットした遺伝子を発現抑制させた細胞における遺伝子発現をRNAseqにより検出し、変動した遺伝子のpathway解析を行うことで、血液側に含まれリガンドの候補を探索、実証実験を行う。In vitroで結果が得られ次第、見出した分子群の生体内での発現様式を解析し、in vivoでの実験につなげる。
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