2019 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization of micro-coordination in the GI tract reflecting irritability and inflammatory reactions: Elucidation of pathological conditions and development of treatment strategy
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19H03558
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 晋介 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30192230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 治彦 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90283431)
梶 典幸 麻布大学, 獣医学部, 助教 (20779318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 消化管 / ペースメーカ / 内在神経 / 平滑筋 / トリプトファン |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管は多くの役割を果たすユニークな臓器である。研究代表者らの最近の研究から、基礎リズムを発生するカハール間質細胞(ペースメーカ)のネットワークが、正常・病態時の消化管の連携的興奮に重要な働きをすることが分かってきた。 独自に開発した透析膜補強・微小電極アレイ法を用いることで消化管ペースメーカの連携興奮を安定的に可視化することができた。この技術を用いて、小腸微小領域での興奮連携パターンが少なくとも4種類に大別することができることが分かった。以前は、1つの活動だけと仮定して3種類に分類していたが、微小領域において2つ以上の独立した活動が相互作用するパターンも観察されることが分かってきたので、分類方法(定義)を修正して対応した。 トリプトファン代謝産物である5-HTは、4種の連携パターンのうちBumpyパターンを減少させ、Migratingパターンの発生頻度を上昇させた。これは、5-HTの持つ蠕動促進効果と一致しており、ペースメーカ細胞ネットワークが、消化管の連携運動に働いていることを説明する結果が得られた。 消化管筋細胞にCaセンサタンパクを発現したトランスジェニックマウスを使用し、結腸の特殊な興奮性を見いだした。近位部ではペースメーカ活動様の緩徐な自発性の細胞内Caオシレーションが観察され、中部から遠位部では結腸に特異的と謂われるCMMC (colonic migrating motor complex) に相当すると思われる速いCa上昇の重積によるCaウェーブ複合体の存在を明らかにした。 これら結腸における特殊な興奮による収縮制御メカニズムを画像トラッキングを用いて、輪走筋と縦走筋方向の収縮に分解し、その特徴解析を行っている。内在神経活動をブロックすることにより、神経伝達物質ごとに収縮の特長が変化することが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2つの要因は、当初の過敏性と炎症性についての研究計画の遂行を制限することとなった。1)コロナ禍による人的交流の制限。2)共同研究者の疾患等による活動制限の状況。 しかしながらその時間の余裕のために行った別の実験・解析において、偶然にも小腸微小領域で複数のペースメーカ活動が相互作用するパターンがあることを見出すことができた。この結果をもとに、より一般的なペースメーカ活動の分類をすることができた。一方、結腸の筋層においても、部位ごとに特徴的な興奮伝導パターンが存在することを、電気的及び光学的な計測方法で検出することができたことは、当初の計画より進展していると言える。また、トリプトファン代謝産物である5-HTおよび3-IPAについては、順調にデータを積み重ねている。 これら正負の状況を含め全体を考慮し、概ね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸、結腸ともに連携興奮の可視化を進めることに成功している。今後は、この画像化データを自動解析するような手法が必要となってくるので、機械学習を応用する別プロジェクトも立ち上げたい。また、一方、トリプトファンを中心とした代謝産物の効果を中心に、過敏性・炎症性の連携興奮への作用解明を進める。また、結腸においては、内容物の有無による活動状態の変化が興味深い。そこで特に伸展に伴う活動性変化を、蛍光タンパク発現動物などを利用し制御メカニズムを特定したい。 問題となった1)コロナ禍による人的交流の制限、2)共同研究者の疾患等による活動制限状況については、適切な交流の方策や研究環境を整えていただくように所属及び分担研究機関へ働きかける。またオンラインも使用し、互いの活動状況をできる限り緊密に連絡しながら、研究内容を充実するために積極的な討議を心がける。
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